第122話 鯨飲馬食(げいいんばしょく)
「うめええええええええええええ!」
「美味しい!!」
「ねえねえ、それ取ってよ〜」
「うぐっ、ぐっ」
「おい、お前は食べ過ぎんなよ!」
孤児院での夕食。
僕が作ったのは、オムレツやオーク肉の【
野菜も食べないとならないから、野菜スティックのマヨネーズディップも準備した。
主食には【
デザートもあるよ。
そして、味見でミクちゃんに全て食べられてしまったポテトサラダを再び大量に作った。
スープ類は、ジュリアさんにお任せ。
孤児院の伝統のスープだとか。
なかなかのお味だ。
そうして、そんな料理をお腹を空かせた孤児院の子どもたちに振る舞ったところ、取り合いになるほどの大騒ぎが始まったのだった。
「ミク、そのサラダを俺にもよこせよ!」
「うるさい、あっちいけ」
ミクちゃんなんては、あれほどポテサラを味見したのに、今も器を抱えてひとりで食べている。
作り方を教えたし、アシタからも食べられるよね?
そんなことを思っていると、隣りに座っていたブランからひとこと。
「アルの作る料理は、他の人のよりも美味しい」
また、僕の心の中を読んだかのような発言。
でもその言葉が嬉しい。
「ありがたいことだね」
「これはホントのこと。手からうまみ成分でも出てる?」
「それはない」
真顔でそう言われると、もしかしてと思ってしまうからやめて欲しい。
「兄貴、すげ〜、美味いッス」
「俺たちのためにありがとうございます」
「アルフレッド様、とても美味しいです」
「美味、美味」
すると、【蒼穹の金竜】の面々からもお褒めの言葉をいただく。
言葉遣いや態度が変わっているけど……。
チラリとブランに視線を送ると、そっぽを向いてひゅ〜ひゅ〜、と音の出ない口笛を吹いている。
食事中に口笛はみっともないからやめなさい。
ってか、そうじゃない!
明らかにおかしなことになってるよね?
「どこまで鍛えたの?」
「
「それって、崇拝させる一歩手前の域じゃないかね?」
「大丈夫、アルの方をさらに敬うようにって言ってある」
「そうじゃないんだって」
ブランが僕が【蒼穹の金竜】のことを何とかしたいと思っていることを理解して、鍛えてくれたのはありがたいが、そこまでやってしまっては、父さんたちのときのような悪しき伝統を受け継ぐようで、少し嫌だったのたが。
いや、最終的にこうなってしまったということはそれが正しかったのか?
そんなことはない……と、思いたい。
「いずれは、こうなっていた。多少早いか遅いかの違い」
そう断言する相棒。
何となくだけど、否定できないや。
そんなやり取りをしていると、玄関の方から大きな声が響いてくる。
「「「「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁ!!」」」」
………………どこぞの殉職シーンかよ。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★
拙作で『第8回カクヨムWeb小説コンテスト』に参加します。
どうすれば良いのかはよく分かりませんが、これからも精いっぱいいい作品を投稿したいと思っていますので、みなさまの応援をいただけたら幸いです。
追伸
『無自覚英雄記〜知らずに教えを受けていた師匠らは興国の英雄たちでした〜』
『自己評価の低い最強』
の2作品もエントリーしますので、そちらにもお力添えをいただけたら幸いです。
更新は三日後です。
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