第118話 局面打開(きょくめんだかい)
更新は三日後と言ったな……。
あれは嘘だ。
それではお楽しみください。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
もう、ここまで説明すれば疑う余地もないだろう。
こうして、僕とブランふたりがかりで、3人に治癒魔術の手ほどきを行うのであった。
「でっ、できました!」
一時間ほど、そんな時を過ごしていただろうか、そこらで拾った石を【彩色(ピンゴ)】の魔術で赤く色づけしたものを、もとの石の色に戻すイメージのトレーニングをしていたジュリアさんがそう声を上げる。
彼女は興奮で震える手に持った石を僕に手渡す。
「はい、良くできました。【浄化(パーゲイション)】を取得できましたね」
「まさか……こんなに……」
「簡単だったでしょ?」
言いにくそうだったので、先にそう尋ねる。
「はっ、はい」
さすがにこれまで、【治癒(サナーレ)】の魔術を使いこなして来ただけあって、方向性を示したところすぐに結果が現れたようだ。
「魔術はもっと簡単で自由なものなんです。これからもそのイメージを忘れなければ、呪文を短縮しても、あるいは呪文を唱えなくても発動をさせられるはずですよ」
「さすがに無詠唱は無理ですよ……」
そう言い切るジュリアさん。
突然だけど、僕はフォティア商会の
スラムの住民が、たったひとつでも魔術が使えたのならそれで十分だと思い込んでいるため、それ以上の魔術を覚えられないのだろうと。
実際、この世界の住人であるブランは、いつまでも僕の隣にあり続けたいとの想いがあるようで、そのためにはと、貪欲に魔術を学んでいるからこそ、今でも数多くの魔術を覚えている。
だから、無詠唱は無理だと言ってしまったジュリアさんは、この先も無詠唱魔術を覚えられないのだろうなと寂しく思ってしまう。
もっと、夢を持っても良いのではないかと思ってしまうのだ。
ともかく、これでひとり【浄化(パーゲイション)】が使える人材が確保できた。
ようやくこの局面を打開できる目処がついたぞ。
あとは、クレスが連れてきたロイドくんと連絡を取って、鶏を仕入れればマヨネーズとプリンは作れるな。
乳牛もいれば、アレも作れるんだけど……。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「だっ、大丈夫か!?」
「シスターを呼べ!だっ誰か!」
そんな算段を立てていたところ、孤児院の庭先から悲鳴が聞こえた。
「ブラン!」
「ん」
その悲鳴が尋常ではないことを悟った僕は、ブランとともに駆け出すのであった。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
書いてて楽しくなってきたので、明日も更新しようかな?
しれっと、更新してたら喜んで下さい。
モチベーションに繋がりますので、★あるいはレビューでの評価をお願いします。
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