第114話 抜本塞源(ばっぽんそくげん)
ちょうどそこに、ブランがふたりの女の子を連れてやって来た。
「おかえり。どうだった?」
「豊作。ふたりもいた」
そう話すブランの視線の先にはふたりの女の子。
彼女たちは妹のアリアよりも少し年上くらいだろうか、いきなり孤児院が新しくなったことに驚いてしまっていた。
キョロキョロと周囲を見回しているふたりだが、理解不能な出来事にどこか怯えたようすも見える。
そこで僕は、ふたりと目線が合うように床に膝をつくと、静かに笑いかける。
「あっ、ゴメンね。驚かせちゃったかな?」
「う、ううん?だいじょうぶ」
「だいじょうぶ」
「ねえねえ、どうしてこんなにきれいになったの?」
「それは魔術を使ったからだよ」
「ホントに?」
「ねえねえ、わたしたちもつかえるかな?そのまじゅつ……」
僕がそう謝ると、ふたりの女の子は頬を赤くして笑顔を浮かべる。
どうやら落ち着いたようだ。
そして、彼女たちは魔術と聞いて興味を持ったようだ。
―――ところが。
「【レナ】【ミク】魔術はね、貴族のように才能がある人じゃないと使えないの」
「ええ〜」
「わたしたちじゃ、ダメ?」
するとそこにジュリアさんが割り込んで、子どもたちに世の摂理を教える。
後のことを考えると、あまり期待をさせないようにとの親心なのだろうが、それは早計だ。
「できますよ」
「えっ!?」
「うそ?」
「ホントに?」
僕がそう告げると、ジュリアさんは驚き、ふたりの女の子は期待に目を輝かせる。
っていうか、そのためにブランに調べてもらった訳だし。
「アルフレッドさん、この子たちにあまり期待を持たせるようなことは……」
「いえ、本当に出来ますよ。魔術に必要なのは家柄でも血統でも、人種でもないのですから」
そう断言する僕。
それでも、ジュリアさんは半信半疑だ。
「それじゃ、証拠をお見せしますよ。ブラン」
「ん」
僕がそうブランに頼むと、彼女は僕が何を求めているのか理解して行動する。
「蘇れ【
ブランは、先ほどの僕と同じようにふたりの女の子の服を新品同様に変えてしまう。
「えっ!?」
「うわぁぁぁぁぁすごーい!!」
「おようふくがピカピカだよ!」
ふたりの女の子はピョンピョンと飛び上がりながら喜んでいる。
そして、ジュリアさんは獣人が魔術を使っていることに驚きをに隠せない。
「じゅ、獣人が……魔術?」
「はい、見ていただいたとおり、ブランは獣人です。どうですか?常識から外れてますよね?ってか、その常識が間違っているだけなんですけどね」
「そんなことが……」
「ああ、一応内緒にしておいて下さいね。まだ発表前のことなので……」
そう告げると、彼女は何度も何度もうなずく。
どうやら分かってくれたようだ。
「それでですね、この子たちには才能があるので連れてきてもらったのです」
「才能……ですか?」
「はい、魔術の才能です」
さあ、抜本的な改革を始めようか。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
なかなか進まない。
また三日後をお待ち下さい。
モチベーションに繋がりますので、★あるいはレビューでの評価をお願いします。
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