第106話 立身出世(りっしんしゅっせ)

今日もやります。

投稿4作品一挙更新。


午前7時〜

『無自覚英雄記〜知らずに教えを受けていた師匠らは興国の英雄たちでした〜』


午前9時〜

『幸福の王子と竜の姫〜転生したら領民がヒャッハーしてました〜』


午前10時〜

『自己評価の低い最強』


どうぞよろしくお願いします。


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 僕たちはギルドに戻り、【キマイラ】の亡骸を換金所に提出したところ大騒動になっていた。


「おい、マスターを呼んでこい」

「ルーシィ。二人から事情を聞け」

「はっ、はい!」


 そんなドタバタとギルドの職員たちが行き交う姿を、僕とブランはボヘ〜っと眺めていた。

 ドスンと査定台にキマイラを出した瞬間に、担当者の顔色が変わったもんなぁ〜。

 またやっちゃったのかな?


「どう思う?」

「……お腹空いた」


 僕が相棒に問いかけると、予想外の答えが返ってきた。

 さすがは食いしん坊。

 いかなるときも動じてないね。


「アルフレッドさん、ブランさん、ちょ、ちょっとお話をお伺いしてよろしいでしょうか?」


 すると、今朝方受付をしてくれたルーシィさんが、やたらと慌てた様子で僕たちに声をかけてよこした。

 

 だが、断る。


「すみません、ちょっと小腹も空いてきたので、ごじつでも構いませんか?」

「その程度ならこちらで出します。ちょっと貴方たち、表の屋台から適当に串焼きを見繕って来て下さい。4本もあれば……」

「……8本」

「うっ……5本では?」

「ダメ。それだとアルが1本も食べられない」


 ん?

 ブラン、君は何本食べるのが前提なのかな?


「6……では……?」

「アルもお腹を空かせてる」

「ええ…………」

「8本!」


 ブランが一切の妥協は許さないと、鋭い眼差しでルーシィさんを見つめる。


「分かりましたよぅ。じゃあこれで……。ううう……マスターは補填してくれるかなぁ……」


 結局、ルーシィさんがブランに根負けしてギルドの下働きをしている子どもたちにお使いを頼む。

 どうやら、下働きの子どもたちは、近くの孤児院からやってきているようだ。

 子どもたちにとっては、いい小遣い稼ぎになるし、ギルドの職員や冒険者たちと知己を得るため、将来冒険者として身を立てようとする者にとっては、まさに一石二鳥とも言えるのだ。



 そんなこんなで、僕らはルーシィさんから事情聴取を受けることになったのだ。


 満面の笑みで7本もの串焼きを抱えているブランは、もう我関せずの態度である。

 あとは僕に任せるといったところだ。


 僕は1本だけの串焼きを大事に食べながら、ルーシィさんの質問に答えを返す。


「ええ、間違いなく中層でしたよ。流石に深層まで入るのは時期尚早かと思いましたので」

「すると、キマイラが中層まで出てきてるということかしら?」

「そうですね。言われて見れば少し変かも……」


 大森林の区分けは線が引いてあるわけではないので曖昧な部分が多いのだが、おおむね生えている植物の種類で判断している。

 具体的には、深層と中層の区分けでは上級ポーションの原料でもある【ユキクサ】の有無で決められるようだ。


 特徴的な真っ白な草は、一面緑のこの大森林では特に目立つことから、指標のひとつとなっているようだ。


 とりあえず、ユキクサは見ていないと告げる。


「そうですか……。やっぱり深層で何かが起きてるのかも知れませんね……」


 そうルーシィさんがため息をつく。

 何があるのやら。


 今度、仮面騎士として、こっそりと侵入してみようかなんて考えているところに、ギルドマスターのグスタフさんがやって来る。


「どうやら、トラブルの神に好かれてるようじゃな」


 僕の顔を見るなり、そんな暴言。

 失礼なと僕が反論しようとするも、グスタフさんの次の言葉で思わず息を呑む。


「で、【昇龍】【龍雲】お主たちは【Cランク】昇格じゃ」

「へっ?」


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


これを機に、他作品も一読いただけると幸いです。


モチベーションに繋がりますので、レビューあるいは★での評価をお願いします。



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