第68話 聖者の旅路
私の名は【トリスタン】。
かつては【
末弟である【ケイン】が勇者の称号を得た後の私は、争いに巻き込まれた罪なき人々を救済すべく、慕ってくれる【癒聖】【クリスタ・フォン・フリカ】とともに各地を旅していた。
あちこちで、怪我や病に苦しむ人々を癒し続けていたところ、いつしか【聖者】などという過大な称号まで賜ってしまったのは想定外ではあったが、私とクリスタの旅は順調であった。
そんなある日、私は隣国【カエルム神国】が魔王軍によって滅亡したとの噂を聞いた。
まさか、精強な聖騎士団を有するかの国が負けると思っていなかったが、仮にその噂が本当だとすれば多くの犠牲者がいるはず。
こうして、私とクリスタは迷うことなくカエルム神国へと足を向けたのだった。
★★
果たして、私たちは道中で聞いていた噂が本当であったと知る。
国土のあちこちに散乱する躯が、ひとつの国家の滅亡を告げていた。
可能な限り蘇生をさせたいと、神への祈りを捧げるも、魂が
せめてあと一月早く。
もう少し早く、この場にいられたらと一介の人間である自分の無力さを嘆くばかりだ。
そんな旅を続けて、私たちは神国でも有数の城塞都市【アウルム】へとたどり着く。
世界一との呼び声も高い強固な城壁を有するため、【不落】とも謳われる都市だ。
私たちは、そこならば生き残りがいるのではと一縷の望みをかけてその城門をくぐったのだが、果たしてその街は陥落していた。
一見すれば、人が行き交う平和な街にも見えるが、その実は
「ここもダメか……」
いくら堅牢なる城壁を有していたとしても、内部に侵入されてしまったらどうしようもない。
そんなことを思いながらも、襲い来る魔族たちを次々と屠っていく私たち。
未熟なれど【
そしてついに、ソイツが現れた。
「ファ~~!カスどもが~!たったひとりの男にビクビクしおって、情けないやつらだ!!」
完全に怖じ気づいて、遠巻きに私たちを取り囲んでいた
一瞬だけ、スライムかと思ったほどにしまりの無い身体。
太鼓のように膨れ上がった腹は、男が歩くたびに上下左右に揺れる。
(こんな姿を
思わず道を違えた兄のことを思い出すほどに見苦しい姿。
だが、その男こそが魔王軍四天王のひとり【
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
ようやく、ハー○様が出てきました。
どんな能力があるのか次回をお待ちください。
モチベーションに繋がりますので、★あるいはレビューでの評価をお願いします。
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