あらゆる性癖や願望を叶えることができるVRMMOにおいて、主人公の『ルナ』こと『大神月』が、自身の『憑依フェチ』を活かしたり悦んだりしつつ冒険する物語です。
まず作品全体のテーマを『性癖』とし、しかも『憑依モノ好きの女性主人公』をメインに据えたのは、挑戦的かつ個性的で良かったです。
そして単なるR15的なMMORPGで終わらず、性癖やスキルをバトルにも活かして敵を倒す場面は巧いなと思いました。
文章についても女子キャラの肉感的な魅力や、バトルやテンポの良さが違和感なく描写され、読みやすさと丁寧さを同時に感じ取ることができました。
ただこの手のジャンルを取り扱う作品なら、丁寧さよりも、むしろ勢いとかノリとかハジケっぷりに振り切った方が良かったと思います。『フェチに全振り』とタイトルにあるのですから、この作品自体もどちらかに全振りした方が良かったと思います。
性癖をテーマにしている割には熱量がちょっと足りず、良い意味での馬鹿馬鹿しさや『雑さ』がもっと欲しいと感じました。聞いたこともないような特殊性癖が繰り広げられたり、拗らせに拗らせた濃いキャラクター達が登場したり。
好き嫌いの別れるテーマや内容だけど、好きな人が読んだら絶対ドハマりする。そういう作品や方向性を目指した方が、むしろ本作にとってはプラスだったんじゃないかなと思います。
小説は多かれ少なかれ、作者の「こういう物語が俺は好き」「こういうキャラを私は可愛い・エロいと思う」「こんな展開なら最高じゃね!?」という、性癖の暴露大会のようなものです。
なのにそこで作者が変な遠慮や照れを出すと、作品全体の魅力やスピード感も削がれてしまいます。
作中にもある『性癖は人それぞれで、おかしい性癖なんてものはない』といった名言達の通り、自分の中にある性癖や面白さを出し惜しみせず、エンジン全開で突っ走って欲しいです。
癖。それはまさに十人十色。誰かと完全に一致するなんてことはないのではないかと思う、自分だけの唯一無二の物。
そんな癖を体感できる世界があるとしたら、あなたはどうしますか?もちろん、飛び込みますよね?私は飛び込みます。
物語の舞台となるのは、どんな欲望だろうと叶えられる、VRゲーム。ファンタジー的な欲望だろうが、どんな無理難題な欲望だろうが、何でも叶えてくれる夢のような世界。
主人公である大神月は、今まで抑え込んでいた物を全開にして、ゲームの世界へと飛び込んだ。
こんなゲームがもし現実に存在したら、私はどんな姿で何をするだろうか、とそんなことを考えながら読み進めております。
みなさんもこのゲームをプレイしてみませんか。おすすめです!
【フェティシズム・フロンティア・オンライン】はあなたの性癖にお応えします!
マニアックな性癖でも、いかなる部位のフェチでも、どんなシチュエーションがお好きな方でも、その性癖がスキルとなりあなたの武器になります!
理想の姿のアバターで、理想のパートナーと理想の性癖ライフが(ryできます!
どうですか? やってみたくありませんか?
それだけではありませんよ。自分の性癖を駆使して相手と戦うフェチバトルは本作の醍醐味。自分の性癖《スキル》がどんな効果を発揮するのか、性癖《スキル》同士がどのようなコンボを発生させるのか、相手はどんな性癖《スキル》を使ってくるのか、ワクワクが止まりません。
これはもうプレイするしかない!
……ところでこのゲーム、どこで買えるんですか?
え、まだ製品化されてない!? ……なら応援して書籍化からゲーム化を狙うしかないですね!
というわけでオススメです!