くじらの夢を見る

僕はきっと死んでいる。

そう思ったのは3日前のことでした。

ふわふわした感覚と一緒に

脳の細胞が無くなっていた。

あの日のことを思い出した。

子供の頃に体験した話だ。

昔の僕はどこか変で

カナブンを握りつぶしたり

ハチのハリを抜き取ったりして遊んでいた。

その日の僕は階段に転がっていた

死にかけたナメクジに目をつけた。

他に遊び相手もいないので

仕方なく家に持ち帰った。

鏡の前でいつもの儀式を済ませた後に

ナメクジを水に漬けたんだ。

ナメクジはクルンと縮こまったかと思うと

中身を撒き散らして水溶液になった。

僕はその水が美味しそうに感じて

一気に飲んでみたんだ。

さらさらの水の中に

どろりとした不快感が混ざった味で

僕はすぐに吐き出した。

それ以降の僕は人が変わったように

虫と遊ぶことをしなくなった。

遊んでいる途中だったイモムシを紙に包むと

外へと放り投げたんだ。

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