第10話

***


次の意識は鼻腔からだった。真っ暗な世界で静かに心臓を動かしていると、湿った空気の中に微かに土の匂いを見つける。


僕は目を開けた。畳越しに見える空はまばゆいが少し曇っている。眠たさは既に雲散霧消して体は軽かった。心の赴くまま靴を引っ掛けて外に出る。目の前は寂れた街だが、少し歩くと海が見えてくるのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る