第9話
人の感情は妄想するのは容易く、推し量るには海よりも深い。彼よりも長い人生を歩んでやっと、少しずつ骨身に沁みてきた。
彼の事を、強いと繰り返して言った。
もう10年ほど経った今考えると、あの言葉は間違っていたのかもしれないと思う。僕が漫然と過ごした1日のどれかに彼は潰された。誰よりも弱くて、少なくとも彼自身はそう感じていて、誰かに伝える術もなくて、苦しんでいたかもしれない。
あの雨の中で涙を流す僕の肩を抱きしめて、彼が耳元で囁いたような気がしたのだ。ありがとう、と…
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