魔法を使えなくても大丈夫です。だって私は魔法の完全上位互換である魔術があるので。

第13話

「ふぅ、ここらへんまで来れば大丈夫だよね......」

なんとか追及を逃れてその場を離れることが出来た。

「ちょっとルーナ！？あなたなにしようとしたのよ？」

う、流石にお姉様からは逃げられないか、正直に話したくはないけど仕方がないか......

「ちょ、ちょっとだけお姉様に絡んでる人達が許せなくて首をすぱっとね......？跳ね飛ばしてしまおうかなーって......」

「あ、あの人達が誰だか知っているの？」

一応知ってはいる......他の国から交流のためにこっちの国に派遣されてるお貴族様だったよね？

「でも！お姉様？聞いたことありませんか？郷に入っては郷に従えって！」

そうだよ、あっちの学校とか法律については多少知ってるけどこの国に来たならルールに則って生活しないとね、例えそれが他国の貴族だとしても。

「聞いたことがない訳じゃないけど......そういうことじゃないんじゃない？」

ぐ......た、確かに少しやりすぎちゃったかも......お姉様に怒られるのが怖くなった私は俯く。

お姉様は私のほっぺたを持ち上げて私と目線を合わせる。

すーっと目線を逸らそうとしたが無理やりお姉様に目線を合わせられる。

お、怒られる......今までお姉様に怒られたことなんて一回もないのに！あんなよく分からない貴族のせいで初めてを奪われるなんて！

でも......お姉様に怒られるのならご褒美かも......？

「ルーナ」

「は、はい？お姉様......」

「私のためにあんなに怒ってくれたの？」

お姉様のために怒ったって言われればそうなんだけど......

「どっちかっていうと反射的に体が動いたといいますか......」

お姉様は呆れた顔で頭を抱えてため息をつく。

「嬉しいんだけどちょっとやりすぎたかもしれないわね......？」

お姉様が嬉しいような、困惑したような複雑な顔を浮かべている。

そんな顔も最高に可愛いお姉様は天使だ！ますますお姉様に害をなしたあいつらが許せなくなってきたよ！

「今後はもうちょっと気をつけてね？」

「はい、お姉様！今度は悟られないようにやります！」

「そういうことではないのだけど......」

「そんなことより！お姉様、昼食食べに行きましょう」

私を説得することを諦めたお姉様、さすが生まれてきた時から共に過ごしてきただけのことはある。

あんな奴にこれ以上私とお姉様との大切な時間を奪われてなるもんですか！

手を引っ張って歩き出したのはいいものの......

「お姉様！」

「どうしたの？」

「ご飯ってどこで食べるんですか？」

「えぇ......？」

そう、私はこの学園に来るのは初めてなのだから食堂の場所など、もちろん分からないよ！

お姉様がはぁ......といいながら私の手を握ったまま食堂へと案内してくれる。

そう時間がかからない内に食堂に着いたけどかなり広いなぁ......

出入口なんて前世の体育館の非常口くらいあるよ？右に３つ、左に３つと前と後ろに２つずつあるね、こんなに必要かって思うかもしれないんだけど、それぐらいには広い。

「ここの出入口は各階層から繋がっているのよ、繋がっていないのは２層と10層ぐらいかしらね」

お姉様は私の心を読んで説明してくれる。やっぱり姉妹の絆は最強だね！

食事はバイキングのような形式で沢山並んでいて少なくなったものはどこからか補充されてなくなることはないみたいだ。やっぱり魔法って偉大だな。

「リューズ様！一緒にお食事を......あら？隣にいらっしゃるのは妹君様ですか？」

あら、私もしかしてお姉様の周りで有名人なのかしら？

私はカーテシーをして自己紹介を行う。

「皆様、お初にお目にかかります。レイチェル・ルーナです。以後お見知りおきを」

「まぁ、お話に聞いていた通り、しっかりしたお方だこと」

ん？私について誰かから聞いたことがあるのか、私はまだ幼いからそんなに社交の場に顔を出していないはずなのだけれど......

「お話はいつもリューズ様からかねがね......」

「そ、その話はこれくらいにしておいて！ルーナ、ほらお腹すいているでしょ？食事取りに行きましょう」

お姉様は気恥ずかしいのか、話を逸らす。

そっかそっか、お姉様いつも学校で私のお話してくれてるんだ......そうなったらどんな話をされているのか気になるのは人間の性だと思うのよね。

「皆様方、お姉様から私についてはどんな話を......」

「る、ルーナ！？皆様お食事はまた今度一緒にさせていただきますね！それでは！」

お姉様はその場を私の手を引いてそそくさと立ち去った。

食事をとった後、席に座った後顔を真っ赤にしたお姉様から説教をされることになった私はお姉様かわいいなぁ、と思いながらほっぺたを引っ張られのびのびとしながらにこにこしていた。