第11話
本の中身を見る前に表紙などを確認してみると一人の女の人が描かれていた
「とても綺麗な人......」
そこには絶世の美女とも呼べるような人がいて、肩にかかる程度の髪の長さくらいで金髪の、そんな人が鎧を着て『刀』を今にも鞘から抜こうとしているような絵だった
「これはアーサーさんのお話だよね......?じゃあここに描かれているのって............」
そう、必然的にアーサーさんということになるよね......?
でもこれは私の知ってるアーサーさんとは違う。髪は切ったんのなら短いことにも納得できるけどそうじゃない、写っているひとには銅像とは違って明らかに胸がないのよ。それも私と同じぐらいにぺったんこだよ?胸は急に膨らむもんじゃあるまいし、それは私がよく知ってる......自分で言ってて悲しくなってきた......この話はやめよう、うんそうしよう。
しかも絵の下に書いてある言葉、『アーサー・アルタイルの物語をここに記す、来る時に然るべき人のために』
これって私に対しての言葉ってことになるよね、どうして私?
『今、学院に入学するこのタイミング』
ある程度の成長をしてから訪れるからこその今、学院に入学する時?
『私である理由』
前世の記憶を持って転生している私だからこそ?
......まだ情報がばらばらで一つに繋がらない............
内容を読めば理解できるのかも、そう考えた私は表紙をめくりようやく本を読みだした。
その瞬間、世界が暗転した
さまざまなきおくがのうにいっせいにながれこんでくる
「主様!今日はどうしますか?」
「え?なにもしない?最近
「あなたの言う通り力が強くなりすぎましたね......まぁそれが目的ではあるんですけど」
「この刀ですか?主様に作って頂きました!皆さんも大体そうじゃないですか?ただ私の能力の性質上一本だけでは戦えない場合もあるので...」
「主様のおかげで世界の調律が保たれているんですからもっと自信を持ってくださいよ!」
「あなた、主様を裏切りましたね!!!よくもこんな!」
「そういうことだったんですね......本当の敵は...........!」
「主様!待って!私達を置いていなくなるなんて......!配下の意味がないじゃないですか......主に守られる配下なんて.........!」
「このまま黙って主を消されるわけにはいかないですよね、皆、魔力を一つに集めなさい......!」
「私達は消えても構わない......でも、主だけは............!」
また、世界が暗転した
「も、戻ってきた?のかな......?」
「今のは多分アーサーさんの記憶だ......」
なにかの方法で自分の記憶を本にして形として残したんだろうけど、ぎりぎりだったからこんなつぎはぎな感じでしか残らなかったんだなぁ......
でも、謎が多くなったな......主ってことはアーサーさんは誰かに仕えてたってことだし、その人は予期していなかった敵かなにかにやられちゃったみたいだし、そもそも主が誰なのかもわからなかったし......
そういえば近くにうるさい奴がいたっけ?
「ねぇ、本あなたに聞きたいんだけどあなたの主はアーサーさんの主と一緒?」
「あぁ、そうだなぁ......おれの記憶ではそういうことになってる」
『おれの記憶では』ってどういうこと?
「まぁこれ以上考えても分かることはない、かなぁ?」
一応記憶の片隅くらいには残しておこうかな歴史がどうであってもあんまり今に関係なさそうだし
「なんかどっと疲れちゃった...体力が持っていかれた感覚......」
「ちょうどいいじゃねぇか!そろそろお昼の時間だぜ!あと五分ぐらいで食堂が開くしな!」
「そうなんだ......じゃあ先にお姉様を探そうかしら?ご飯一緒に食べる約束したし」
「それじゃあね、本ばいばい!」
「おう、それじゃあな!」
そういって私は広い図書館を抜け出し、お姉様を探すために学校内を歩き始めた
......といってもまだ授業が終わっていないから廊下には人っ子一人いないんだけどね......
それにしても喋る本は初めてみたなぁ......なんか今まで習った歴史を根本から揺るがすような内容だったけど、わたしあんまり興味ないし。
ぼんやり歩いているとチャイムが鳴った
「あ、授業終わったみたい」
チャイムの鳴り終わりと同時に廊下が一気に騒がしくなったね、これお姉様見つかる......?人多いよ......
と、とりあえず!お姉様の教室へ行けばいいかな、
たしか4年D組だから......?
7層だったかな?
ところで、階段はどこにあるのかなぁ?
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