第8話
「...様。お嬢様。もうすぐ準備しないと間に合いませんよ。」
「んぅ...もうそんな時間...?」
肩を少し揺すられ眠りから私は覚める。
「はい。もう馬車が外で待っていますよ。」
「りあなぁ...」
「はい?」
私は布団に顔を埋め込んで言う。
「服...」
「もう用意していますよ。」
「きがえさせて......」
「...万歳してもだめです。自分で着替えてください。」
「むぅ...昔はしてくれたのに......」
「ルーナ様、それぐらいにしておいた方がいいですよ。目が覚めた時に後悔しますから。」
「わかったぁ...」
わたしはしぶしぶ自分で着替えを始める。
するとリアナがさっと後ろを向いた。最近私が着替えるときはずっとそう。私が気づいていないだけで前からなのかもしれないけど。
「リアナ?どうしたの。」
ふと気になった私は聞いてみる。
「いえ、お気になさらず。」
「そ、そう?」
「はい、お気になさらず。」
ええ?そんなに繰り返すようなこと?なにか裏がありそうな気もするけど...まぁいっか!
「ええ、とてもお嬢様に直に着替えを見たら鼻血がとまらなくなるなんて......言えるわけ......」
ゾクゾクっ
せ、背中に物凄い寒気が...急に服脱いだから体冷えたのかな?そ、それにしても寒い。はやく服着よう。うんそうしよう。
「リアナ、行きましょうか。」
「はい、お嬢様。」
私が歩き始めるとリアナはその一歩後ろを歩き始める。
「リアナ、いつも言っているけどお屋敷の中なら横歩いてくれればいいのよ?」
「嬉しい言葉ですが、もったいないお言葉です。私は1メイドでしかないので。」
むぅ、いっつもリアナなこうやって言うんだから!私はリアナなのことをもう一人の姉くらいに思っているのに!
「ルーナ様、本当に間に合わなくなりますよ。はやく行きましょう。」
「わかってますー!もう、リアナってば!」
そういって私は速足で玄関の門へと向かう。
そうしてむっとして歩いてたらすぐに馬車の前へとたどり着いた。
もうちょっと打ち解けてくれてもいいのになぁ...
「ほら、いつまでもぷりぷりしてないで、ルーナ様。いまから学校に行くんですからそんな顔じゃ皆さん怖がってしまうでしょう?」
「そ、それはそうだけどぉ...リアナ、いつもそういう風にうまくごまかすから」
そういってずっと怒っている私に対してリアナがすっと近付いてくる。
私がなにかを考えるまえにリアナが私に
ボソッ「......ルーナ、駄々っ子には後でお仕置きしますよ...?」
とささやく。
ゾクゾクッ「ひゃあ!」
「り、りりりりあな!?私みみよわいにょに!」
「ふふ、知ってますよ?だからやってるんですから。」
ほら!馬車の騎手さんが怪訝な顔で見てる!
私は恥ずかしさに堪えきれずにそそくさと馬車へと乗り込んだ。
「家族の皆様がいないからって気が緩みすぎですよ。」
「まったく、いつもこれくらい素直だと私も楽なんですけどね?」
こ、この顔はずるい!まさに妖艶って感じの!
乗り込んだ後の私はそれまで怒っていたのも分からなくなるくらいのまさしく借りてきた猫状態で学校までなにも喋らず、気恥ずかしくてリアナと顔を合わせることもできなかった...
くそぅ、いつかこの借りは返すもん!
そう誓って私は馬車を降りて学校の門の前にあるタイル状の道へと足を降ろした。
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ここでひとつ作者の私からのお話がございます。皆さんこうは思っていませんか?
「話が進むの遅すぎ」
......はい、すみません。我ながら進行スピードの遅さは自覚しております...
ですが!次回以降からはお話に伏線を張ったり、剣舞ももうすこしでお披露目の予定です。(2~3話以内の予定)
こんな拙作ですが、もう少しお話の展開が広がって行くまで待って頂けると嬉しいです。
最後にもう一度になりますがここまで読んでいただいた方には感謝しかありません。本当にありがとうございます。
これからも砂糖海月をよろしくお願いします。
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