第4話
お兄様達を見送って着替えた後、少し休憩していると、妹達が私の部屋に来た。
「おねーさま!レッスンのとこ途中まで一緒にいこう!」
「シャロ、全然いいよ。シャロは3階?」
「うん!おねーさまは4階だよね?」
「そうだよ。」
皆さん知っての通り私は貴族。家もとっても大きい。さながらヴェルサイユ宮殿。
5階建てで、庭だけで前世の家の何倍もある。
1階は台所やリビングなどの生活に使う場所。
2階は応接室などの接客などの行うための場所。
3階、4階は揃ってレッスンなんかに使う部屋。ほぼなんでも揃っている。
ピアノから木剣、トランプなどなど本当になんでもすることができる。
音楽、武具、遊戯があるから家族皆、日中は基本このどちらかの階にいることが多い。
私はダンスのレッスンなので3階、シャロとリズは剣舞?だったような気がする。
剣舞、聞き馴染みのないものだと思うけど、これはレイチェル家独自に古来から伝わる武術の1つ。これはこの国においてレイチェル家しか扱える家系は存在しない。
具体的にいうとこの世界によく使われる剣技を“剛”とするなら、それに対して剣舞は“柔”。舞の型の10種類に剣を合わせ、舞と剣技を融合させたもの。
舞もこのために先祖は考え抜いて10種類の型を生み出したそう。
しかもちゃんと剣抜きでも美しい舞として成立させているのもすごいところ。
“剛”を制するために作られた“柔”の型は魔法の発展による剣の衰退によって使われる機会は減ったけど、それでもレイチェル家は全員この剣舞の10の型を完全に習得する。
ただ、この10の型から外れる11の型がある。この11の型は特殊で、レイチェル家の中でも使える人物はほんの一握り。いまのレイチェル家には11の型を使える人はいないので習得方法だけが受け継がれている。
いままで11の型を習得できたのは4人。私が5人目になれたらいいなぁ、なんて思いつつ。
型は数字が大きくなればなるほど習得難易度が上がっていき、私はまだ5の型までしか完全に扱いきれない。7の型からは3割ぐらいの確率でしか成功できない。これからもっと練習して早く使いこなしたいんだけど、そう簡単にもいかず...あと1つコツがつかめればいけそうなんだけどなぁ...お姉様やお兄様は11の型を習得しようとしたけど、なにも感覚が掴めないといって諦めていた。私は詳しくは知らないけど、そもそも感覚的な要素が多く、それが感じられないと11の型はまず使えないらしく、お姉様やお兄様ですらまったく何も感じられなかったらしい。優秀な2人が使えないのに他の人が使えるのかな?なんて思うけど。
あれ?話が大きく逸れちゃった。なんの話でしたっけ?あ、そうそう。私の家の構造についてだった。
次は5階。5階は植物園。主に観賞用の花を育てる場所。お店で買うが大半だけど、うちでは自分達で育てて飾っている。来てくれた人たちにもきれいって評判になってて、売ってくれませんか?なんて話もちらほら。
最後にお庭。庭には食べる用の菜園、大きなパーティーホールなどなどこの家にはなんでもできるような設備が揃っている。
「おねーさま?だいじょぶ?」
「えっ?」
「ぼーっとしてたよ...?」
「あ、ああごめんね?ちょっと考え事してて...気を取り直して行こっか?」
そういって2人の手を握る。
「うん!」 「うん。」
そうすると2人は私の手を両方からぎゅっと握り返してくれる。
あぁ...この子達は本当に天使だ...
「行こう?お姉様?」
私達は無駄とは言えないけど、かなり広いお屋敷を歩き始めた。
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