第3話
「はるとにぃ、おはようございます。」
「おはよう、リズ、シャロ。」
「リューズもレイチェルもおはよう。」
「ハルトお兄様、おはようございます。」
「おはよう。ところで説教ってなんのこと?」
「ああ、ダクスのことだよ。あいつ魔法を覚えてから調子に乗っていたからね。少しお灸をすえなくちゃと思ってたんだ。」
「ダクス、最近ルーナに強く当たってるよね?そろそろ私もなんとかしようと思ってた。」
「火の魔法が使えるようになってからね...特に周りと比べて早く成長しているみたいだから...」
お兄様は学校で魔法の技能でかなりもてはやされているみたい。
具体的にいうと、学年5本の指に入るのだとか。
学年でトップクラスに魔法が使える兄に逆らえる者はほとんどおらず、教師も権力もあり、成績も悪くない兄の悪事は多少黙認。そりゃあ調子にものりますよね。ま、私ならそんなことないけど。
「私に対する態度は大丈夫なんだけど...リズとシャロは守ってほしいですかね...?」
「ああ...ルーナの優しさが染みるわ...」
「ええっと...?思ったこと言っただけなんですけど...」
「...!るなねぇ、そういうところ...」
「え?なに?」
「リズ、言っても無駄よ。この子天然だから。」
「そうだよ!リズ、おねーさまは鈍感なんだから!」
ええ...?なんだかすごい罵倒を受けてる......
私鈍感じゃないもん!感覚は鋭い方だし?見られてる視線とかすぐ気づきますし!
「ま、一応僕からは軽く注意しておいたから。ルーナも安心して?」
ああ、ハルトお兄様、やっぱり優しい...さすが爽やかイケメンって感じ。
学年主席だし、生徒会役員にも推薦で加入してるし...
しかもなんたってお兄様も土と光、2属性の魔法を扱える。
ダクス兄様もハルトお兄様には敵わないわね。
もちろんリューズお姉様もダクス兄様よりも強い。
「ハルトお兄様、ありがとうございます。」
ガチャ
「お、そんなこと言ってるうちに本人が来たぞ。」
だん、と強い足踏みをして抱き合っている私達の前にダクス兄様がむすっとしながら立つ。
「おい...ルーナ、その...さっきは変な態度をとってすまなかった...」
といっていかにも不満そうに頭を下げる。
「い、いえ!全然気にしていないので!頭を上げてください!」
これはお世辞じゃなくて本当。
何回も言うようだけど、私に危害が加わるだけなら全然おっけー。
妹達に手を出したらダクス兄様は許さないけど。
ないとは思うけど、お姉様とかね。
ハルトお兄様には絶対手出しできないだろうし。
「うん、ルーナも許してくれたみたいだし、そろそろご飯にしようか。」
「はい、おにーさま!わたしもうお腹ぺこぺこ!」
「わたしもお腹すいたぁ...」
そんな風に話しながら兄妹みんなで食卓に囲むように座る。
...ただいつもここでひと悶着あるんだけど...
「今日はおねーさまの左側座ろーっと!」
「「あっ」」
「しゃろ、『は』じゃなくて『も』でしょ。昨日もるなねぇの左側。今日は私の番。」
「あらあら、たまには最年長の私に譲ってくれてもいいのよ?」
「りゅーずおねーさま3日前に座ったでしょ?だから今日は私!」
目の前で揉めだす3人を前にハルトお兄様が口を開いた。
「えっと...朝昼晩で3人で交代すればいいんじゃない?」
「夜は私がいないからだめ!」
「リューズお姉様、3人で話し合えばいいのでは...?」
「それもそうだね!」
なんで毎朝こんな会話してるんだよ...
私の隣が誰かなんてあんまり気にしてないけど...
姉妹曰く心臓に近い左側に座りたいんだって。
よくわかんないけど。
右側には誰も座れないように私は端っこに座っている。そうしないと隣になる数があわなくなるからね。
ご飯食べようってなってから何分たったのかは知らないけど、
朝はリューズお姉様、昼はシャロ、夜はリズと決まったらしく、
お姉様がご機嫌で私の横に座って足をぷらぷらと揺らしている。
「さ、じゃあ皆もようやく落ち着いたことだし、いただきます。」
「「「いただきます。」」」
そう、前世では海外にご飯の時にする挨拶はないと聞くけどこの世界には存在していた。しかも『いただきます』だよ?これは流石に私以外の日本人の関与を疑わざるを得ないよね?一応家にいる中で一番偉い人が挨拶することになっているから今日はハルトお兄様。
「あ、おねーさまのお料理おいしそう!私にあーんして?」
「...同じものしか出てないよ?私のあげよっかぁ?」
「ふふ、リズとシャロは朝から元気ね。さ、ルーナ、あーん。」
「お姉様、もう私子供じゃないです...」
「まぁいいからいいから。」
「なにもよくないです...」
そうしていつも通り騒がしく皆でご飯を食べて、それぞれ学校へ行く兄達は学校へ行って、私達学校へ行けない組はそれぞれレッスンに備えて着替えなどを始める。
「よし!今日も頑張るぞ!」
朝から気が抜けそうだったけど改めて気合を入れなおす私だったのである。
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