三章 森の錬金術師
第八話『最も畏怖すべき魅惑的な覇気』
彼らは喜んでいた。
斥候として散策しに来た三人衆、四匹の未熟な獲物を見つけ、奇襲で弱そうに見えた三人を戦闘不能にし、残りの一人も重傷を負わせた。
調子者のあいつは獲物の一匹の纏うモノを脱がせ、解体を始めようとしていた。
残りの一人は血を流しながらも調子者に切りかかり、返り討ちにあって武器を吹き飛ばされた。
そこに短剣の扱いのうまいやつが入り込み、二線、獲物の腹を切りつける。
「ゲギャギャギャギャ!」
知的なあいつはキュウソネコヲカムの教えを忘れずに油断はしない。
しないが、これは勝ったと思った。
少女が現れるまでは。
「おう!?まさかのエンカウント!?シャアァァァァァァ!」
「ゲギャ…!?」
三人衆はその場で動きを止めて全身から漏れる冷や汗を感じる。
ザッと頭を下げ、
「け、けして我らは貴女様のシマを荒らす気は…」
「お許しください!ただ、狩りをしていたのです!」
「い、今すぐに立ち退きますので、なにとぞ!」
「え?あ…え?」
口を逆三角にしてグ〇コのポーズで威嚇していた少女はゴブリン三人衆の言葉にポカンと驚く。
ゴブリンが感じていたのは獣に近い第六感のような感覚での畏怖と誘惑だった。
少女からあふれる魔力的な魅力と神聖力による拒絶。
二つが交わり、キライだった上司がメイクブスで、遅刻遅刻!とすっぴん出社した時のような感覚なのだ。
「ナニガ=ドウシタ」
と、ちょうどその時だった。
倒れていた男が近くに落ちていた仲間の剣でゴブリンに切りかかった。
「っ!」
少女が動いたのは咄嗟の判断だったなぜかゆっくりに見える剣の横腹を押して軌道をそらしながら左手で男の胸を殴る。
ボグギッと嫌な音が鳴り、男は近くに生えていた木まで吹き飛び、そのまま動かなくなった。
「やべっ!」
少女はストレージから回復ペーストを取り出すとすり鉢で純水と混ぜ合わせ、回復ペースト水溶液にする。
それを男の口に流し込み、神聖力を流した。
薬の効果が活性化し、持続効果が即時効果になる。
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回復ペースト水溶液
徐々に体力を回復する
回復ペーストのレアリティにより持続時間が増える
なお、持続回復中に神聖力を流し込むことで即時回復になる
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陥没していた胸が再生し、顔色がよくなる。
ゴブリンたちはその神聖力の多さにすでに逃亡していた。
本能が勝てないと判断したからだ。
のちにこのゴブリンたちによって森にすむ
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