28.それぞれの事情
行政府をでて、小屋にもどってくると、オレはミケアのいる部屋に向かった。といっても、この狭い小屋なので、用奴であるユイサと同じ部屋である。オレを暗殺しようとした彼女のことを、ユイサに監視してもらう意味があり、また部屋数を確保できない、という意味もある。また、ここでエッチをするときはいつも三人になる点でも都合よかった。
「悪かったよ。ロデーヌの件、後追いの報告になって……」
受け入れてくれた、といっても、愛妾として先にオレの傍らにいた彼女にそれを告げたのは、ロデーヌに告げた後になってしまった。
「どうして謝るの? 私は愛妾なんだから、いずれ正妻ができるのは分かっていたことだし、私に報告する必要もない」
その通りだ。でも……。
「愛妾としたのは、キミの出自が分からなかったからだ。本当なら、キミが正妻でもよかったんだよ」
「私は……そんな人間じゃない」
「キミがどう思うかは関係ない。オレがそうしたかったんだ」
彼女が何か言おうとした、その唇をオレのそれが塞ぐ。
久しぶり……ユイサがいない形で、彼女を求める。特徴的な左右で瞳の色がちがうオッドアイに、ブロンドの髪。その神秘的な容姿は、暗殺されかけても、やっぱり魅力的だった。
まだほとんど胸は膨らんでいない。でも、オレはそこに顔をこすりつけ、その先端にある突起を、顔全体で愛撫する。
ギヨンドワーナ国に旅行したとき、積極的なルルファにだいぶ看過されたようだ。これまではあまり乗り気でなかったのに、今はしっかりと両手でオレの頭を抱え、目をつぶってそれを受け入れている。
そのまま彼女のお腹を、顔をこすりつけるようにして下っていく。彼女の全身を体に擦りつけるようにして、オレの顔は彼女の足の間へと至った。淡く、柔らかな毛さえなく、そのすべすべとした丘をさらに下ると、そこはこれまでと異なり、頬に湿り気を感じた。
もう準備はできている。オレは彼女のそこに指を這わして、湿り気を指にまとわせるようにすると、顔は両の太ももの内側をさらに辿る。
「は、早くぅ~……」
彼女もその待ちきれない感じに、そうおねだりしてくる。でも、オレは指を挿し入れただけで、顔は彼女のそれに近づけ、その何かを訴えたそうな唇から声が漏れないように塞ぐ。
もう何度も重ねてきた肌……。
互いに初めてだったときから、ずっとそうしてきた。
オレを銜えこむと、その大きさに合わせるよう、ぎゅっと絞めてくるそこも、そのフィット感が半端ない。
目を閉じて、今でもそれほど自分から動いてくる感じではないけれど、オレをうけとめ、しっかりと感じていることはその恍惚の表情からもよく分かる。律動に合わせて、小さく「ふん……、ふん……」と、その勢いに息が漏れる感じも、彼女がそれを愉しんでいる感じをうかがわせた。
今、ユイサは体調を崩してしまったロデーヌのお世話をしている。なので、二人きりでのエッチ。
オレはそれを堪能した。彼女も、何度も絶頂を迎えたことで、ベッドの上でぐったりと横になっている。
彼女とこうしてしたかったのには、ある理由があった。
オレは翌日、アダルナとともにウリムラに向かうことにしていた。オレとロデーヌが結婚をするために、最大の障壁はほとんど護衛もつけず、まだ高い位置にあって、周囲から狙われやすい状態で、町をパレードすることだった。
今、国内は荒れていて、反体制派がかなり多くいる状態だ。王城に近いミノスのような港町は統制が行き届いているけれど、遠く離れるとその限りではない。そうした治安の悪い町、王制に不満をもつ人々の前にも、お披露目のために身を晒されないといけないのだ。
危険を回避するためには、事前に住民の理解を得ないといけない。オレはそのためもっとも反王制が強い、ウリムラに行って説得しようとしている。
「これは危険な賭けです」
アダルナがそういって、厳しい顔をむける。
「分かっているよ。でもオレがやるしかないんだから……」
他に誰もやってくれる人はいない。オレは部下もいないし、頼れる相手すらいない第五王子なのだ。
「でも、アダルナだって同じだろ? どうしてオレに、そこまでしてくれるの?」
これは、今まで聞いたことがなかった。聞くのが怖かったし、子供から大人への疑問は、やはり嫌われると思っていたからだ。
アダルナもオレの顔をみつめて、小さくため息をつく。
「私はこのオノガル国へ来て、最初に採用されたのは、ユウエン王子への魔法教育のため、でした」
それは初めて聞いた。なるほど、ユウエンと会うときも、特に挨拶をかわさなかったわけだ。
「私はユウエン王子から体を求められ、逃げたのですよ」
「迫られた? 逃げた……?」
「性的教育も期待されていたのでしょう。でも、私は怖かった……。その任から逃れようとしたのです」
ユウエンはギヨンドワーナ国にも魔法留学していたように、その道への活躍が期待されたのかもしれない。だから、アダルナのような魔法使いを招いた。ただ、まだ若い女性としてのアダルナをその任に当てたのは、ユウエンの性欲……を考慮した上だったのかもしれない。
「もしかして、それでオレの家庭教師を……?」
「温情……というものですね。解雇する代わりに、アナタを教育しろ……と。ただ、そのためにシンラ王子のお付きは、私だけになってしまいました。魔法使いとして採用された私は、それなりのコストもかかっているわけですから、それ以上に人材を割くこともできない、ということです」
それで、用奴も一人だけ……。
「私のせいで、シンラ王子の成長が阻害されてはいけない。私に全責任がかかっているのだ……と」
彼女にとって、オレの成長を見守ることが自分の使命……、そう変わった。きっとそれは、シンラ王子の母親が、第四姫の結婚とともに城を出た、という事情とも重なるのだろう。
ただ、そうしてオレたちがウリムラに向かうその日の朝、「私も行きます!」そう名乗りを上げたのは、ミケアであった。
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