20.首都に達する

 ふと目を覚ますと、そこは木の天井だった。しかも狭い部屋で、ぐらぐらと揺れている。

 それは船旅の初日でも感じたものであり、どうやら異世界にもどってきた。向こうとこちらの時間の流れは同じでないけれど、今回は向こうが二日、こちらが十日以上の時間経過である。

「起きられましたか?」

 ドアを開けたのはアダルナだ。どうやら、オレはずっと船酔いで苦しんでいた、という体でこの狭い部屋で寝ていたそうだ。それは、シンラ王子の演技?

 どうも、あまり人付き合いが得意でないようで、オレと入れ替わっている間、周りと交流をもとうとしない。

 特に、今回はミケアにルルファ、それにユイサの三人の少女に囲まれた上、第七姫のロデーヌまでいる。欧州では中世のころまで家族内結婚も当たり前だったように、妹とはいえ腹違い、別に肉体関係をもったところで不思議ではない。そういう状況が好きではないようだ。

「そろそろ、上陸します。やっと船酔いから解放されますね」

「それは助かるよ。とにかく船旅は苦手……」

 個人的にはそれほどでもないけれど、そう語っておく。


 ギヨンドワーナ国の港町、エストア。オルガノ国の港町、ミノスよりも高い建物が並び、繁栄している。それはいくらオノガルが交易国といえど、大陸で最大のギヨンドワーナ国の貿易量に敵うはずもなかった。

「ふえ~……。凄……」

 全員、田舎者なので呆然と見上げる。唯一、土地勘のあるアダルナに導かれ、まずは国立図書館のあるギヨンドワーナ国の首都、サン=リエニコに向かう。

「首都といっても、暮らしているのは一人だけです」

「それは……王?」

「いいえ。ギヨンドワーナ国の国教、キュノス教の教主、教皇です」

 なるほど、王であれば家族で暮らすだろうが、教皇は家族をもたないから一人。恐らく、お付きの人もそこで生活するだろうが、入れ替わり立ち代わりで、明確に住んでいる、といえるのは教皇だけなのだろう。

「首都が、教皇領なの?」

「いいえ。でも王や貴族は首都の外で暮らし、そこには仕事のために入ります。昼間と、夜の人口比率が極端にちがう都市、としても有名ですね」

 これは後で知ることだけれど、ギヨンドワーナ国の王家と、教皇とは血縁なのだそうだ。遠い昔のこと、力をつけ過ぎた教皇を制御するため、王家の者が教皇となったのだが、それが悪影響となって、首都を教皇領に明け渡すことになったのだそうだ。


 エストアから、サン=リエニコまでは馬車で一日の旅。

 船旅も長かったけれど、馬車での旅は、周りに女の子ばかりいる状態で、余計に長いと感じた。何しろ、ここで始めるわけにはいかないのにルルファはノリノリで、体をすり寄せてくる。むしろ船旅の間、お預けとなったことで溜まっているのかもしれない。

 ボクの隣はアダルナとユイサ。三人掛けの対面座席で、反対にはルルファ、ロデーヌ、ミケアが並ぶ。これが一番、風紀がよろしいとなったのだ。

 サン=リエニコに到着したときは、もうとっぷりと夜も暮れていた。治安のよさは流石だけれど、宿に入ると一階の飲食店は大賑わいで、それだけでもここが繁栄していることが知れた。

 正確にいうと、サン=リエニコはこの宿からすぐ、大きな門を入ったところからがそうで、王族すらその中で暮らしていないのだから、旅人がサン=リエニコで一夜を過ごすことなどできるはずもない。

 でも、その周囲が繁栄するのは、暮らしている住民の数が桁違いだからだ。

「いよいよ、明日にはサン=リエニコですが、私たちは入れません。中に入れるのはシンラ王子と、ロデーヌ姫だけです」

 アダルナがそう告げると、ミケアもルルファも「え~」と、不平を鳴らす。

「こればかりは仕方ありません」

 護衛役のアダルナでさえ中に入れないのだから、警備は厳重だ。

「アダルナは、他の三人の観光を手伝ってあげて。オレたちで行ってくるよ」

 別に、難しい交渉に行くわけではない。国立図書館に行って、調べものをしてくるだけ。そのときはそう気軽に考えていた。


 その日の夜は大変だった。アダルナとロデーヌ、オレのお付きのユイサは別の部屋で、オレとミケアとルルファ、三人ですることになったからだ。

 嫌だ、嫌だ、といっても始めれば乗ってくるミケアも、ルルファが積極的に始めてしまうので、もう巻きこまれる形になった。

 このメンバーで旅をすれば、自然とそうなるとは思っていたけれど、ここに来るまではそうならなかったので、ここで一気に爆発したのだ。

 ルルファはエッチ好きで、部屋に入るとすぐ全裸になり、オレに抱きついてくる。胸も少しは大きくなってきたけれど、まだ片手で握れるほどでも、そうせずとも先端はすでに存在を主張する。

 濃厚なキスで舌を絡ませるのと同時に、体をすり寄せてくるので、体の凹凸まで直に感じられた。

 目の前でそれを見せつけられ、ミケアにもスイッチが入る。前にへばりついて離れないルルファに、後ろからオレに抱きつき、体をぴたりと密着させると、顔の横から唇を這わせてくる。オレも苦笑しつつ、横を向いてミケアの唇も吸ってあげる。

「早く、早く!」

 ルルファはそう急かすけれど、ここは正式な愛妾であるミケアが先だ。いつにも似ずに、積極的にオレに跨ってきて、自ら動きだす。もう中もとろとろで、挿入した瞬間にイッてしまった。

「次は私♥」

 ルルファは脱力してしまったミケアをどかすと、自分から動いてくる。ここに来るまでお預けだったので、もう待ちきれないのだ。

 これまでは二人でしても、もう一人はユイサであり、用奴としての彼女への粘膜接触は禁じられていた。だから指で弄ったり、胸を揉んだりすることはできても、挿入するのはミケアだけだった。

 でも、今日は異なる。ミケアにルルファ、交互にしてあげないといけない。いくらまだ若い……といっても、今日は寝かせてもらえるのだろうか? どこまで付き合えるのだろうか?

 旅の恥はかき捨て……というけれど、旅でエッチを溜め、捨てどころを間違えると大変なことになる。オレもそれを実感していた。








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