11.始動と指導

 オレはこっそりと夜に一人で城を抜けだし、ミウスの町の宿屋にやってきた。

「いらっしゃい!」

 そこには同い年ぐらいのルルファという少女がいる。あの日のつづきをするつもりはないけれど、彼女が唇を求めてくるのを、オレは受け入れた。互いに、以前かわした温もり、その湿り気を十分に確認した後で、ゆっくりと彼女は唇を放す。

「私とエッチする気になった?」

「こっそりと……なら、いつでも……」

「じゃあ、こっそりとしよう」

 そういって、ルルファは改めて唇を重ねてくる。ちょっと下唇がぷっくりとしたタイプで、まるで吸い付くように、オレの唇にまとわりついてくる。

 彼女はこの宿屋の姪で、手伝いとして働いているといっていたけれど、一部屋を与えられていて、オレたちはそこに入る。彼女はすぐに服を脱ぎ放って、オレに抱きついてきた。ミケアと比べるとやや膨らんでいるけれど、胸はまだ大きくないし、下もまだつるつるだ。

 オレがベッドに横たわると、彼女が上に乗ってくる。激しくキスをしながら、相手の肌を辿るようにして、下腹部へと指を走らせる。ユイサのそこで、何度も練習したけれど、年齢が彼女より低いためか、ルルファのそこはより硬く閉ざされているように感じられた。

「このまますると、痛いかもしれないよ。ちょっといいかい」

 オレはそういって、彼女をベッドに寝かせ、下から覗きこむようにする。こうした個所は、一人一人ちがうもの……と頭では分かっていても、逆にユイサのそれを見慣れてしまっているだけに、子供っぽく感じられた。


 指でゆっくりと周りを辿りながら、刺激を与えていくと、彼女の下唇のようにそこもぷっくりとしてきた。どうやら指だけでも彼女は感じるようで、充血してきているらしい。

 指を少し挿しこむ。細い指でさえ、締め付けを感じるほどで、彼女は初めてのその感覚に「くぅ~……」と、吐息を漏らすのと同時に、足をこちらに絡みつけようとしてくる。

 オレも頭をはさもうとする足を手で遮りつつ、顔をうずめる。口をそこに押しつけ、覆うようにすると、舌で彼女のそこを責める。

 多分、彼女は自分でもそういう興奮、刺激を求めて指で慰めることがあったのだろう。でもそれは、周りをさするぐらいで、指を入れたこともなければ、生温かくて湿り気のある、ざらざらしたものが舐めるようなことも未経験のはずだ。

「あぁ……、嫌~……」

 足でぎゅっとしてくるのは、本気で嫌がっているのではなく、初めてのことに戸惑っているから。

「いくよ」

 準備は整った。オレも身を乗りだして、彼女の中へとしっかり自分のそれを握りながら、ゆっくりと導いていく。

「ふぅぅぅ……」

 彼女は初めての挿入で、イッてしまったようだ。でも、オレもその締め付けに奥まで辿りついた後、そこで力が抜けたように彼女の上に突っ伏してしまった。


「あぁ……、これがエッチなのね」

「痛いかい?」

「少し……。でも大丈夫。つづけて」

 オレが腰を動かすと、彼女は「ふぅ、ふぅ……」と律動に合わせて、まるでマラソンでもするかのように、そう呼吸を合わせてくる。

 ミケアのときもそうだったけれど、下手をすればオレの腰の動きに、彼女までついてきそうなほど、ぎゅっと締め付けてくるので、その肩を押さえて、抜き差しを愉しみつつ動こうとする。でも、ミケアのときにはなかった、彼女は両足でがっちりとオレの腰をはさみ込んでくるのだ。

 なので、ちょっと引くと、すぐに彼女の足でもう一度奥まで挿しこむよう押し戻される、という僅かな距離しか動けない。

 でも、下手にロングスパンで律動をしたら、彼女が壊れてしまったのかもしれない。数回動くだけで、彼女は「きゅ~ん……」と、力が抜けてしまう。つまりイッてしまう。むしろ、夢見ていたこうした関係になれて、感動と感情が入り混じって、とても感じ易くなっているのかもしれない。

 オレが彼女の中で、登頂を果たしたころには、彼女はぐったりして足の力さえ抜けてしまっていた。

 彼女とつながったまま「大丈夫かい?」と声をかける。

「…………うん。すっごい良かった」

 彼女は腕を伸ばしてきて、オレの首をかき抱くと「アナタが宿屋に運び込まれてきて、一目見たときから『この人と最初を』って、そう思っていたの。だから、それが達成できてよかった」

「最初だけでいいの?」

「嫌! もっとしたい♥」

 ルルファは照れもなく、真っ直ぐした瞳でそう訴えかけてきた。それで、オレも踏ん切りがつく。

「ボクは王子なんだ。でも、今のままだと王族の権利を剥奪されて、民間人に落とされるか、最悪は暗殺されるだろう。キミにも協力して欲しい」

「私……、最初から王子って気づいていたの。でも、王子だからエッチしたいって思ったわけじゃない。シンラ王子のこと、一目ぼれしたから、そう思ったんだもん」

 そんなことを言われると、嬉しくなってしまう。もう一回……なんて、オレも中身はいい歳をして、ルルファと抱き合った。


 経済面で秀でるということは、この世界のことを知らないといけない。オレは隙をみて、街にいくことにした。この辺りは第五王子、期待もされていない立場であることで、監視がゆるい点もある。門番にも、軽く手を上げただけで通してくれるようになった。町にいい子がいて、通いをしている、と思われているようで、ニヤニヤ笑ってお見送りだ。

 でも、毎回ルルファの下に行くわけではない。町で経済的な状況を知ることが第一であり、ルルファともエッチをするだけではなく、宿屋で得られる、耳にした情報を聞くことが目的だ。

 超大国ギヨンドワーナとも、上手くやっていくことは勿論だけれど、小国家はそれぞれ貿易を通して、情報交換をしている。

 どうやら今年、各国では飢饉になっているようだ。この世界は比較的、気候は温暖だけれど、ここにも四季がある。昨年、長雨がつづいたことで農作物が打撃をうけ、食糧が足りていないそうだ。

 このオノガル国は、比較的その害から免れているけれど、ここが海流の影響で寒いこと、また西のジュナ山で遮られて大陸の雲が渡ってこなかった、という点が幸いしたらしい。要するに、ジュナ山に当たって雲が雨や雪を降らせ、こちらに回ってこなかったのだ。

 こうした飢饉は数年続く。来年育てる分の種まで食べ尽くしてしまうからだ。ここでこの国から農作物を輸出できれば、傾いた国家財政を立て直すこともできそうだけど……、そんなことを考えつつ、畑までやってきたとき、オレはその光景をみて、思わず笑顔になっていた。






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