My Sweet Home.(お家に帰ろう)
11月3日(水)
今日は日本女子野球協会のお仕事。今回のW杯の派遣に関して俺が寄付金を出した関係だ。それで神奈川県相模原市の球場まで協会のお偉いさん方と亜美の試合を観にきたのだ。
秋季リーグ戦は終わっているのだが、祝日ということもあって、これから行われる神宮大会を前に大学同士の練習試合が多く組まれており、亜美の大学も練習相手として試合をしている。
もちろん俺と亜美が「幼馴染」であるというのは協会関係者も知っているので、それを踏まえての視察なのだ。女子W杯のMVPであり、大学野球初の女子選手「首位打者」というのは女子野球協会にとっては自慢の種だろう。
「あっ、ども。」
試合前に呼ばれた亜美。協会幹部にお辞儀して頭をあげて、俺がいることにきづく。
「あれ?こんなとこで何してんの?来るなら言ってくれればいいのに。」
「うん。すまん。」
「直接」会うのは1年ぶり近い。いざ他人の目の前で再会を果たすとどのテンションで行けばいいのかお互いに難しい。
地元の女子野球チームに属する小中学生も呼ばれていて、一緒に写真を撮るのがメインの仕事。一応バックネット裏のいい席で観ていたんだが、サインへの応対が多くて落ち着いて野球観戦どころではなかった。
11月4日(金)
ようやく実家に帰る。ここからしばらくはスポンサー企業との絡みが増える。
今日からトレーニングは母校で。熊野さんは母校のゲストルームへ。ゲストルームは元ケントの自宅をゲストハウスに改装したものだ。その一室。
夜は家族(両親と妹)と久しぶりの「家族団らん」。母親に日本に帰ってきてるのに実家に寄り付かないのは親不孝と叱られる。すまん、それが親としては当然の反応だろう。だが仕事も忙しいのが事実。
親父が夢だったという「息子と酒を酌み交わす」もビール一杯だけお付き合いしておいた。アルコールは適量なら体にいいのだ。ただ飲みすぎるとどうしても肝臓がアルコールの処理にかかりきりになってしまい本来処理すべき脂肪分の燃焼などが後回しにされてしまうためだ。
11月5日(土)
母校で小学生相手の「野球教室」。母校は中高一貫校のため、受験生(主に小学生)へのオープンキャンパスの一環としてリトルリーグやボーイズリーグ、軟式少年野球などにに所属するこどもたち相手に秋に野球教室を開いている。(ちなみに4月に編入希望する中学生相手の体験入部は夏休みに開催しています)。そのお手伝いだ。
俺が教えたのはもちろんストレッチだ。故障回避には重要だからね。結局バッティングもピッチングも教えたけど。学校ではスクールカースト上位の子供たちが多いから生意気なのが多いけど、のびのびとやるのがいちばんですよ。
11月7日(月)
母校は便利で良い。勝手知ったるなんとやらでトレーニングもはかどるというもの。ただトレーニングルームは外からでも見学しやすい作りになっていて、報道関係者のほかは休み時間になると生徒たちが見学にくるのだ。
ただ見学にはスマホアプリによる事前申請制/人数制限があるためパニックになることはない。
今日は野球用具のメーカーさんとの打ち合わせ。おもにバットとグラブ、スパイク特にバットは長さ、グリップの形状、上下の重さのバランスと微妙な調整も多い。
あとは材質。本来はアオダモと呼ばれる広葉樹が材料とされていたのだが生育が遅く(70年)、植林など管理も行われていないために激減。1本あたり10万円からという超高級品である。あとはアオダモの親戚にあたる北米産のホワイトアッシュ。あとは大打者ビリー・バンズがここ10年で流行らせたメープル(カエデ)。打ち味は「しなり」が売りのホワイトアッシュ、軽くて反発力が高く金属バットに似ているといわれるメープル。うーん。ホワイトアッシュかな。でも木目がアオダモより粗いよな。ようは生育スピードが早いからか。じゃあ、北米大陸でもより北部で取れた木の方がアオダモに近づくのでは?
俺がそんなことを聞くとメーカーの人に笑われた。ただ、すぐに思うところがあったらしく真顔に戻るとちょっと調べてみるとのこと。
「いやぁ、さすがアドバイザリー契約だねえ。そこまで考えたことなかったわ。」
とまた笑った。
スパイクもグラブもオーダーメイド。というか身長が190cmを超えた時点で自分に合う市販のものを探すのは結構大変。好きな色はありますか?とか聞かれるんだけど結局は好きな色というよりはユニフォームに合う色、という感じになる。
おそらく今週いっぱいはこういったスポンサー対応が続くだろう。ちなみに
日本シリーズは7戦の上、千葉が制覇。勝った先輩と負けた後輩にメールを送った。
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