逆リーチからの……。
10月10日(日)
シリーズ4戦目。今日も乾燥した良い天気。日差しは強いがそれほど暑いというものでもない。
今日は正午
先発投手は今季ノーヒットノーラン試合も達成したゲイザー。地元で開催される第5戦に持ち込むために必勝を期す。あちらはハンガー(右・13勝4敗)。
俺は2番指名打者。試合は2回、打撃好調のベーニャが3塁打で出塁。ゾルディストが敵失を誘うとともに本塁生還して幸先の良い先制点。
3回の第2巡目の俺の打席。まだ1点差だから追加点は欲しいわな。とりあえず塁に出るか。そして4球目の4シームがほぼ真ん中に来る絶好球。無心にはじき返すと右翼席ポーチに飛び込む第3号ソロ本塁打。点差を広げる。
4回にはドンゴ、ベーニャ、BJの3本の2塁打で2点を加点。5回にもライト前安打で出た俺を一塁においてドンゴの1号2ラン本塁打と打つべき人が打った試合。
6回裏にクルーの3号本塁打などで3点を返されたものの9回にはトリアーノがしっかりと抑え3対6で勝利。トリアーノは初セーブ。2勝2敗と最終決戦までもつれ込む展開になった。
俺たちは試合後すぐにセントピートに帰りテキサスを最終戦で迎え撃つ準備をすることに。
試合後のインタビューでは、最初の2戦は俺しか打点をあげられず、しかも3戦目はチームを救う好投をした俺への「依存が高すぎる」と揶揄されたことをみんな気にしていたようだ。
テキサスのクルーも高卒ルーキーの俺にばかり目立たれても困る的な発言。俺と本塁打数3と並んだのが嬉しそうだった。
10月11日(月)
「休養日」というか「疲れが残らない程度に鍛える日」。グラウンドに集まって練習する皆も心なしか落ち着いた表情に。5戦までもつれたのはこの対戦カードだけで他の3チームは決まってしまった。
10月12日(火)
両軍の先発投手は第1戦と同じクリス・リードとブライスのエース対決。
俺は7番指名打者。
試合は1回表に安打、盗塁で二塁にいたアンダーソンがジョシュの一塁ゴロの間に進塁、一塁カバーに入ったブライスの隙をついて本塁突入、先制点を許す。
2回裏、1巡目の打席。3球目の2シームがど真ん中に。レフト線へ流す感じで振ったがそのままレフトスタンド最前列へ飛び込むラッキーな4号ソロ本塁打。同点に追いつく。
さらに3回裏、ゾルディストのタイムリーで逆転に成功するも続く4回表に再びテキサスに2対2の同点に追いつかれる。
6回表には連続安打からの内野ゴロで2対3と逆転を許し、7回裏、一塁にBJを置いて3巡目の打席。初球、1巡目と全く同じコースに同じ2シーム。さすがに今度は完璧に捉え、左中間スタンドに放りこむ5号2ラン本塁打。4対3と再逆転に成功。
7回からウェズが登板。2
ところがクルーを一塁に置いてキングスリーに低めのスライダーをすくいあげられ2号2ラン本塁打を浴び、最終回でいきなり4対5とひっくり返される。
9回裏、あちらの新人王候補ネフタリ・ペレスが登板。持ち前の速球でベーニャとBJをねじ伏せる。二死無走者。打者俺。最後の打者になってたまる……そして申告敬遠。新人同士だから恥ずかしくないもん、ってやつか?さすがに観客からは大ブーイング。とはいえこれもまた勝負の世界。
こちらもダンを代打に送るも内野フライで試合終了。グラウンドで大喜びするテキサスナインを目の前に唇をかむはめに。俺の初めてのポストシーズンは終わりを告げた。
ロッカールームはお通夜状態。……というほどでもなく、終わってしまった悲しさに緊張と重圧からの解放感が加わり躁な状態と鬱な状態がないまぜになっている。
いずれにしても選手の出入りの多い世界なので、このメンバーのうち何人と来季も同じチームでプレーできるかどうかはわからないのだ。
【沢村健のポストシーズン成績】
打者
(右)打席12打数10 安打7(長打5)打率.700 二塁打1 本塁打4 打点6 四球1敬遠1
(左)打席5打数4 安打2(長打1)打率.500 本塁打1 打点1 四球1
投手
(右)1試合 1勝 8回 失点0 被安打4 四球2 奪三振8
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