二冠が見えてきた?

9月23日(木)


 6回突如サバティアが崩れる。カール、ドンゴの連続安打とロッソのタイムリーで1点返して一死三塁一塁で俺。ロッソには代走でデズ。流石に大投手に新人相手に逃げの姿勢は許されないだろう。5球目の真ん中やや内よりのチェンジアップ。迷わずバットを振りぬく。きれいな放物線を描いた打球はレフトスタンドへの49号3ラン本塁打。3対5と逆転に成功。


 ちなみに同日のデーゲームでバチスカーフが50号ソロ本塁打を放っていることは周知。ただデトロイトのMカブレロの打点120をぬいて打点トップに立つ。


 ただ打点はMLBでは日本と同じほどには重視されていないところもある。数値が状況に左右されるからだ。それでも打者「三冠」の一つであることには違いない。


 サバティアの調子は戻らずこの後連続四球を出して降板。試合もレイザースが10点をあげてヤーナーズを降し、最終カードを5分に戻した。(2位)


 ただ、明日から本拠地でのシアトル・マトリックス戦があるので勝利の余韻に浸る間もなくセントピートへ。


 9月24日(金)


 帰りの飛行機は楽しかったようです。俺は機内の片隅の方で「睡眠魔法」かけて眠ってました。おでこに「肉」と書かれてもいい覚悟はして。いや平成中期くらいまでは「キ〇肉マン」の影響で人の顔への落書きはおでこに「肉」というのが鉄板だったのだが……。


 さすがに先発投手(右)なのでゆっくりは寝ていられないのだ。それに新魔法の実戦投入でもある。


ブルペンでひとしきり肩を作ったところでヰチローさん登場。当然ながら後ろに報道陣。「中の人」が見たことある景色だって。「白〇巨塔」とかいう古いドラマの「教授の院内回診」のシーンらしい。


 ヰチローさんは面白そうなものでも見ているような顔で俺をみている。

「昨日はNYはナイトゲームだったんだって?さすがヤーナーズ、ライバル潰しは容赦ないな。これくらいできないと覇権は語れないね。」

 そこでヤーナーズを褒めますか?ふつう。

「ん?健は投手として行き詰ってる的な顔して、打者としては花開いちゃったんだっけ?」

「そーじゃないですから。」

俺をめっちゃ感じ悪くするのやめてー。


「立ち話もなんだから。」

「茶でもしばきま……ってヨガマットひいてストレッチですか。……俺もやります。マット?自前があるに決まってるじゃないですか。二人で互いの関節の可動域を賛美しながらの対談。これ街でやってたら普通に危ない二人だと思われるだろう。まあ球界でもかなり異色だけど。


「お前だけだよ。雑談の時間が無駄にならないのは。」

そうですね、ただTV局の皆さんはだいぶお困りのようですけど。

「そりゃそうだよ。今へたにこっちに話かけたら巻き込まれる確率100パーだもん。まあ、無理やり女子アナを(ストレッチで)ひーひー言わすのもそれはそれで楽しいけどね。」

 ドSだ……。あんさんのキャップのSはドSのSや……。(シアトルです。作者註)


「まあ、見た感じ(問題取り組みの)方向性は決まってるみたいだし、今日KOされたら明日また慰めてやるよ。」


 相手先発はベルガス。俺と同じ9勝。意気込みは互いに感じる。ヰチローさんは一番ライト。俺が「こども」の時から観ている定位置だ。


 ヰチローさんへの初球は今季最速の161.3km/hのアウトハイに外れたボール。ヰチローさん、俺の球を見て感じるところがあったのか、もう一度ルーティンを繰り返す。第2球は160.7km/h外角いっぱいややたかめの4シーム。ライト前へのクリーンヒット。


 その後1巡目はしっかりと抑え、3回表最後のヰチローさんもさらに落差がついた縦スラで一塁ゴロに。


 4回2番のフィグスに中前安打を打たれ、すぐに盗塁を許す。二ゴロで進塁と犠牲フライで1失点。


 味方も点を取ってくれて5回までに5対1に。

6回表、あちらの監督さんの要望で俺に対して「不正物質検査」。魔法で球に手や指のかかりがよくなり、ボールの回転数がぐっとましたため「粘着物質」の所持を疑われたようだ。俺は「魔法」以外は使ってないのでどうぞご覧ください状態。球審も怪しいと思っていたらしく結構しつこかったし態度も横柄だった。


 当然ながらなにも見つかるはずはなく試合再開。俺も気が立ってしまったのか、ホセ・ロベスに二塁打を打たれてしまう。またゴロと犠牲フライで失点。


 回転数があがっていわゆる「ホップ」に見えるのか内角低めも見逃し三振。6回2失点でマウンドを降りる。万全なできではなかったけど磨いていけば投手としてレベルアップできるはずだ。


 チームも勝利して俺は待望の10勝到達。10勝がこんなに遠いとも思わなかったし、こんなにうれしいとも思わなかったし。


なお、レイザースは本日まだワイルドカードをあきらめない意地のレッドアックスに負けたヤーナーズに代わって首位。

 ちなみにバチスカーフも意地の51,52号本塁打。Mカブレロも意地の2打点122と俺にまであと2。


打者

(左)打席236 打数211 安打69(長打41)四球25死球2敬遠5 犠打4 打点81 二塁打8三塁打1 本塁打32 

(右)打席95 打数87 安打36(長打24) 四球6敬遠1犠打1 打点43 二塁打6 本塁打17


(合計)打席328 打数295 安打103(長打64) 四球31死球2敬遠6 犠打5 打点124 二塁打14三塁打1 本塁打49 打率 .349 出塁率.429長打率.892 OPS1.320

盗塁6


投手

(左)試合12 5勝4敗  73回 失点25 奪三振53 防御率3.08

(右)試合12  5勝 3敗  73回 失点21 奪三振50 防御率2.59

合計 試合22 10勝 7敗   146回 失点46 奪三振99 防御率2.84

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る