万年補欠の下克上！！！（第3期）ー再転生した野球少年は底辺スキル「支援魔法」でメジャーリーグを駆け上がれ！

神のみぞ知る異世界

9月21日（火）

　せっかくのNYの高級ホテルが宿舎なのはいいが、結局寝に帰るだけなのがもったいない。高級なレストランあるのだが、負けた日にそんな豪華なディナー気分にはなれないし、摂取栄養の管理もしづらい。

　「なんか部屋の写真をいっぱい撮って家族に送って自慢したわ。なんか泊まっただけで勝ち組になった気分だよなぁ。」

「あー、わかるわかる。セントピートのホテルで一人部屋っつーだけでアガったけどＮＹはやっぱレベルが違うわ。」

んー、そだねー。ヘル吉とデズのアホ話に生返事しながら球団のバスに乗り込む。

「今度タキシードとか着て写真撮るかな？」

「それよくね？」

「おい、さすがにそいつは『田舎者（おのぼりさん）』が過ぎるからやめとけって。」

自分にもやってみたいと思った黒歴史（かこ）があったとは言えない。

　相変わらず報道陣の数は多い。日本の報道陣も「女子アナ」さんが入らなければお行儀が良いんだけどねぇ。アメリカのスポーツジャーナリストにも女性がいるけど、見た目で選ばれてるわけじゃなく由香さんのように取材力の実力で入ってきてる。

「今日のお昼のメニューはなんでしょうか？」

それ真顔で聞く？ただスタジオ直通でないだけかなりマシなんだよね。

「他球団（よそさま）のカフェテリアなので流石に提供メニューまではわからないですけど、栄養バランスのよい効果的な食事を心がけたいと思います。」

甲子園球児か俺（ワシ）は？一事が万事こんな感じだから困る。

　TV取材が困るのは一定のスペースが必要だからで広大な屋外やグラウンドは差し支えないが、人が多い状態のクラブハウスでは邪魔にしかならないのだ。

　俺は先日のひらめきをもとに新しいボールの投げ方を模索中で、球数の許される範囲内でのブルペンでの投球練習もはじめた。感覚としては日本製のボール並み以上に手にフィットする感じだ。

　先発はこちらがフィールズ、あちらがヒューストン。前回対決したばかりだ。　俺は1番指名打者。

　試合はいきなりフィールズがヤーナーズ打線につかまり、初回5失点の大誤算。だが、そこで開き直って自ら立て直せるところが「叩き上げ」のエースたる所以（ゆえん）。5回1/3を初回だけの失点で乗り切る。

　味方も序盤に2点をかえして5対2で7回、先頭の9番バードレッドを左前安打で一塁に出したところで俺。あちらも替え時を悩んでるところだろうな。

　おそらく疲れが出ていたのだろう。4球目は明らかに失投。真ん中高めに入ってきた147km/hの4シームを思いきりフルスイング。打球はライトスタンド上段への47号2ラン本塁打。一気に1点差へ詰め寄る。ここでベンチはヒューストンをあきらめる。

　だがヤーナーズも7回8回に3点をあげて8対4で試合終了。ゲーム差が3と広がる。「絶望的」とは言わないが結構やばい。

9月22日（水）

「総力戦で行こう。」

マディソン監督のお言葉だった。投手を短いイニングでつぎ込んでいくことにしたらしい。シーズンは残り12試合。確かに、ここで下手にケチってポストシーズンまで失ったら目も当てられない。ただ戦争で総力戦を挑んでボロ負けした国があるんですよ。「戦いは数だよ、兄貴！」昭和生まれ（中の人と同年代）ならわかるよね。

　こちらの先発がウェズ、あちらがバートン。明日はサバティアなので、今日はなんとしてでも勝ちたいというのがベンチの思惑。俺は1番指名打者。

　最初の打席。初球は外に完全に外れた2シーム。ストライクのコール。え？ゾーンかすってたかな。なんか審判に嫌な予感。4球目は真ん中低めにフロントドア的にくる2シーム。しっかりとあてそのまま振りぬくとライト方向へ。右中間スタンドへの48号先頭打者本塁打。

　そのあとは3四球と相手してもらえず。8回表の二塁一塁で四球になった時にはヤーナーズファンからブーイングも。

　試合は小刻みに加点していったレイザースが2対7で勝利。ちなみに勝ち星は2番手のヘル吉につく（4勝0敗）。チームも2ゲーム差に踏みとどまる。ちなみにバチスカーフは今日も1発が出ず、ついに俺は1本差まで迫る。

9月23日（木）

　日本では秋分の日につまり祝日に当たる。日本ではここらでようやく秋の気配となるんだけどアメリカはとっくに秋だわ。よく「日本には四季がある」という半分はギャグ化している言い回し（ミーム）があるが、日本の夏と冬は案外だらしなく続く。

　本日の先発はこちらがブライス（18勝）、あちらがサバティア（20勝）というどっちも最優秀投手（サイヤング）賞狙えるよね対決。（ちなみに受賞結果に世間はびっくりすることになるんですけどね。作者註）

　俺は7番指名打者。試合はヤーナーズが2回に2ラン本塁打で先制、5回まで3対1とヤーナーズを追う展開。6回表のことだった。

打者

(左）打席236　打数211　安打69（長打41）四球25死球2敬遠5　犠打4 打点81　二塁打8三塁打1 本塁打32　

（右）打席92　打数84 安打34（長打23) 四球6敬遠1犠打1　打点40 二塁打6 本塁打16

(合計)打席328 打数295 安打103(長打64) 四球31死球2敬遠6　犠打5 打点121　二塁打14三塁打1 本塁打48 打率 .349 出塁率.429長打率.892 OPS1.320

盗塁6

投手

（左）試合12 5勝4敗　　73回　失点25　奪三振53　防御率3.08

（右）試合11　 4勝 3敗　　67回　失点19　奪三振45　防御率2.55

合計　試合22　9勝 7敗　　 140回　失点44　奪三振99　防御率2.83