勝ち運と首位攻防
9月12日(日)
「よし、今日こそは10勝だ。……でもなぁ。」
そう思って何回目だろうか。ことごとくチャンスを不意にしている気がする。
「そりゃお前の問題でもあるし、お前以外の問題でもあるな。」
投手コーチのデイブが答えた。俺の問題というのは俺の球種の問題。コースにきっちり投げ分ける精度の高いコントロールは良いのだが、あまりにも「正直な」球だということ。
そして、俺以外の問題とは俺のバックに俺がいない、ということだ。つまり打線の援護の厚みが薄くなるということ。
とか言いつつ監督が打線からカールとベーニャを外しやがった。こう言う見えないプレッシャーが新人を追い詰めるんですけど。
1点取ってもらった4回裏、打順は3番バチスカーフに外角低めへと抜けるスライダーを2塁打にされる。4番ベルズ。インロー、インハイ、アウトローの3コーナーに入っているのにボール判定。(引退間際の爺様審判だから頑固)ストレートの四球。
慌ててジムがマウンドに来る。
「健、落ち着け。お前に失投は一球もない。球審がぼんくらなのとバッツが強打者だからだ。自信を持って投げろ。」
俺は異世界での苦い経験から「権力」を持ったやつがそれを振り回すとカチンとくる傾向があるのだ。いや、普通誰だって怒るよな。
5番オーバーレイに初球アウトローへのカーブをライト前に運ばれ無死満塁。6番ヒルズは投手ゴロ、ほんとは1-4-3の併殺にすべきだったが1-2-3を狙ってしまいこれが
ただ、味方が6回表に同点に追いつき、その裏を抑えてお役御免。またも勝ち負けがつかず。試合はトリアーノが9回表に挙げた1点を守り切れずに敗戦。またもや(以下略)
9月13日(月)
今日から運命の「首位決戦」。実はヤーナーズとの直接対決は7試合も残している。今日から本拠地トロピカーラ・フィールドでの3戦だ。平日開催にもかかわらずスタジアムの8割がお客さんで埋まる。これがヤーナーズの力なのよね。
ただ40本塁打超えたおかげかサインを求める人は増えている。
今季すでに19勝しているCCサバティア(左腕)が相手投手。こちらも18勝投手ブライス。「龍虎相まみえる」ってやつ。はー、どうせ9勝投手の俺はとひがんでみる。本日は8番指名打者。冗談はさておいての投手戦。昨日体力温存してたカールやベーニャはさぞや活躍してくれるんでしょうね(ひがみ)。
かく言う俺も1巡目の打席で7球粘ったが、最後外に逃げる2シームをひっかけてしまって遊ゴロ。
5回の2巡目に集中することに。1球目の2シームが真ん中やや外よりのいいところに。前回打ち損じたせいか思わず手がだせない。そしてこちらに向かってくるスライダー。そして4球目は逆球。真ん中外よりの1球目と同じコースに。名手のめったにない失投を落ち着いて振りぬいた打球はレフトスタンドに入る42号ソロ本塁打。これが決勝打となり、ついにヤーナーズと勝ち数で並び、負け数が一つ少ないことから暫定的ながら首位に立つ。(俺は4打数1安打)
9月14日(火)
第2戦はこちらがゲイザー、あちらは新人の(言うて俺も新人だが)イノーバ。
今日はヤーナーズ打線がゲイザーに襲いかかる。5回途中までに6得点で先発ゲイザーをマウンドからひきずりおろす。
ただレイザース打線も新人投手にやられっぱなしというわけにもいかず、その5回裏2本の本塁打を含む長短打を集めて一気に7得点。試合をひっくりかえした。ただそのあと6回に同点に追いつかれ、延長10回サポダに本塁打を打たれて敗戦。(俺は3打数1安打1四球)
1日で首位陥落。だって直接対決だもの。
9月15日(水)
このカードは3戦目。こちらがフィールズ、あちらはヒューストン(右腕)。俺は1番指名打者。明日はともに休養日(予備日)なのでナイトゲーム。平日なのに大入りのお客様。
1回の一死満塁のピンチを1失点で切り抜けたフィールズ。2回以降は危なげない
ちなみに同日、バチスカーフが47号本塁打を放つ。その差4本。
【沢村健の今季成績(通算)。】
打者
(左)打席223 打数195 安打62(長打36)四球22死球2敬遠4 犠打4 打点74 二塁打8三塁打1 本塁打27
(右)打席92 打数84 安打34(長打23) 四球6敬遠1犠打1 打点40 二塁打6 本塁打17
(合計)打席315 打数279 安打96(長打59) 四球26死球2敬遠5 犠打5 打点114 二塁打14三塁打1 本塁打43 打率 .345 出塁率.413長打率.867 OPS1.280
盗塁6
投手
(左)試合11 5勝3敗 67回 失点22 奪三振50 防御率2.96
(右)試合11 4勝 3敗 67回 失点19 奪三振45 防御率2.55
合計 試合22 9勝 6敗 134回 失点41 奪三振95 防御率2.75
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