仕切り直していこう。
8月25日(水)
試合は結局10対3で大敗。試合後松居さんが差し入れをもってきてくれた。
「明日は久しぶりの休みだろ。これで気分を入れ替えて。」
日本からのお土産のお菓子。
ついでに俺に関するスカウティングリポートについても少し教えてくれた。特に俺の左は「精密機械」並みのコントロールで低い球は確実にゾーンに入れてくるからアッパースイングで長打を狙えと指示されていたらしい。
「おそらくほかの
確かに「コース」で勝負するタイプなので読まれてはいかんですよね。
明日は休みだが、それは西海岸から東海岸への移動のため時差ボケ解消のために休みがある。アナハイム近郊のロスの空港からセントピートまで約5時間のフライト。ただ3時間の時差があるので2時間で着いたことになる。とりあえず
8月26日(水)
家族サービスをする人、休む人、ゴルフをする人。選手にとって過ごし方は様々だ。ヘル吉は「投手会」の先輩方にゴルフに連れて行ってもらうようだ。
「健は行かないの?ゴルフ。」
「明日は大学のプールを予約したからなぁ。午後はクラブハウスのジムかな。あそこなら飯もただで食えるしね。」
「真面目だねぇ。」
俺はみんなより「若い」分、身体が出来ていない。最近のスランプもそれが原因だった。まだ「調整」するようなご身分ではないのだ。レジャーは引退したら飽きるほどやる。だから今は「月月火水木金金」でトレーニングするだけなのだ。目指すのは40歳すぎたら「土土日日日祝振替休日」だ。まあオーバーワークだけは気をつけるけどね。
もちろん、まったく楽しみがないわけでもなく、昼には亜美と通話したり、夜はマシューと由香さんとご飯。女子野球の話を聞いたり。
マシューと由香さんは今季のシーズンが終わったら入籍と結婚式をアメリカで、披露宴を日本(東京)でやるとのことで、披露宴への出席を頼まれてしまった。
8月27日(金)
今日からレッドアックスを
一応ワイルドカードの説明をしておくと、ア・リーグもナ・リーグも3地区で構成されていてリーグ優勝を決めるトーナメント戦をやるためには1チーム足りない。それで各地区の2位チームの中でいちばん勝ち星が多いチームを「
そしてレッドアックスとは一か月以上直接対決をしていなかった。今年は同リーグ同地区のチームとの対戦は18試合。1カード3試合とすれば月1くらいで当たる計算になる。日本とは違いいかに交流戦が多いかということだ。
ビジター練習の時間にグラブ持参でグラウンドの外野に向かう。松阪さんが打撃練習の球拾いに参加している。当然記者「団」もついてきた。あいさつをする。
「
同じア・リーグ東地区のオーソドックスにいる植原さんがクローザーに抜擢され最近立て続けにセーブポイントを挙げていたのだ。しばらく日本人選手の近況について話す。
「そういやお前も最近打ちこまれてたな。その話をしたかったんじゃないの?」
記者さんたちにオフレコにしてもらってから松阪さんが俺に話を振った。俺の話を聞くと
「うーん、変化球な。さすがに今から聞いて、すぐにモノになるかどうかはわからんからな。ただお前の場合はな。」
と言ってからニヤッと笑いながら言った。
「たまにはど真ん中に投げてみろよ。『置きに行く』やつじゃなくて渾身の一球な。案外打たれないかもしれんよ。……知らんけど。」
そして記者さんたちに向かって
「こいつ100マイル投げれるから本格派だと思われてるけど、実は技巧派なんだよな。」
さすがに同地区の「ライバル」に変化球教えて、とは言えなかった。
試合はこちらが勝ち頭のブライス。むこうは左のエース、ラセター。俺は5番指名打者に入った。久しぶりのクリーンアップでの起用だったが4回一死三塁で犠飛となるセンターフライの1本のみ。2対3で敗れてゲーム差は4に。
ちなみにブルージーンズのバチスカーフは1本塁打加えて42号。
【沢村健の今季成績(通算)。】
打者
(左)打席177 打数155 安打50(長打29)四球15死球2敬遠2 犠打4 打点66 二塁打7三塁打1 本塁打20
(右)打席82 打数74 安打30(長打19) 四球6敬遠1犠打1 打点32 二塁打6 本塁打13
(合計)打席259 打数229 安打80(長打48) 四球21死球2敬遠3 犠打5 打点98二塁打13三塁打1 本塁打33 打率 .349 出塁率.408長打率.847 OPS1.255
盗塁6
投手
(左)試合8 5勝2敗 61回 失点20 奪三振46 防御率2.95
(右)試合8 4勝 3敗 55回 失点15 奪三振38 防御率2.45
合計 試合15 9勝 5敗 116回 失点35 奪三振84 防御率2.72
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