友のメジャーデビュー。
8月1日(日)TBレイザース(ア・リーグ東地区2位)対 NYヤーナーズ(ア・リーグ東地区1位)
あちらも主砲A・ロッドを引っ込めて(たぶん休養)、ベーニャを欠いたウチとお互い「飛車落ち」といったところか。
最初の打席は2回、0B2Sからの3球目、1球はずすかと思えば入れてくる。切れのいいスライダーをひっかけて二ゴロ。
次の打席は3回。カールのタイムリーとドンゴの併殺の間の得点で2点先制した後の二死一塁。初球のシンカーを打ち抜く。レフトスタンドへの25号2ラン本塁打。右打席は久しぶり。思ったより手元で動かない球だったのが幸い。サバティアもシーズンの疲れが出始めているのだろうか。4対0とリードを広げる。
5回一死三塁二塁で俺。ここでなんと申告敬遠。さすがに観客席からも敵味方関係なくブーイング。俺のあとのジョイナーが併殺に倒れたので正解だったよね。
新戦力のコーラスを8回に投入する余裕もあって4対0で勝利。ヤーナーズ監督のジラルディーノは俺を敬遠したことについては「満塁の方が守りやすかった、ただそれだけのことさ。」と答える。
8月2日(月)
今日からミネソタ・トワイライツを迎えての4連戦。そして、ヤーナーズ戦前に発表された先発投手予定。本来のローテーション通りなら俺が先発投手なのだが明日へ代わった。
というのも今日はヘル吉のメジャーデビューなのだ。しかも先発投手で。もちろん、AAAのバレッツでしっかりと結果を出してきた。12勝3敗、防御率2.45。まさに満を持してのメジャーデビューだ。
ホテルからタクシーで球場に乗り付け、ティアドロップのサングラスで颯爽と登場。
「なにかっこつけてんだよ。ここには女の子なんていねーぞ。」
ジョイナー(7月後半に昇格)につっこまれる。
「いや、めっちゃ緊張してて。ほら、舐められないためにはまずカッコからでしょ。」
「言うて今ここには味方しかおらんぞ。お前はなにと戦ってんだよ?」
俺も思わずツッコむ。でも気持ちはわかる。デズとヘル吉は先月のオールスター・フューチャーズゲームにも出場して確実にステップアップしているのは確かだ。それでも不安は拭えない。
「俺たちはヘル吉のデビューに目いっぱい応援するからさ、気楽に投げてくれよ。」
俺が励ますと
「応援じゃなくて点をとってくれよな。」
はい、ごもっとも。でも応援したい気持ちは本物だ。俺は欠場するベーニャの代わりに一塁手での起用を上申したが却下された。俺が明日の先発投手だからというのが理由だ。
本日のトワイライツの先発オーダーに主砲のマウアーとモレノの名はなかった。これなら勝率はあがる。
ただヘル吉は俺が心配するより、よほど危なげない
3回二死三塁一塁。ドンゴのタイムリーで1点先制しているがここはたたみかけよう。俺は
「いや、健は俺の『指名打者』なんだから、こいつは俺が打った本塁打だぜ。」
なるほど、そういう解釈もありますか。
でも4点もらって気が楽になったのは間違いない。7回2失点で堂々のメジャー初勝利。及第点どころかほぼ満点やろ。
試合後ジョイナーが彼の初勝利を祝って飲みに連れて行ってたが俺は不参加。明日先発だし、未成年者だしね。ちなみに(というか何度か言ってるが)アメリカではお酒は21歳からの州が多い。
8月3日(火)
球場に入るとヘル吉は来なかった。というか1日限定の昇格だったらしい。彼を招集する枠を開けるためにソニースタインを短期DLに入れたらしい。ひでえ。
ただ昨日の出来が良かったので
「健、久しぶり。」
「おお、ダン。上がってきたんだ。」
「おうよ。本塁打30本打ってやっと昇格だぞ。お前が最初のひと月で20本打つもんだからハードルが上がって困ったぜ。」
そして、ベンチコーチのデイブが来る。
「ダン、
「イエッサー、じゃ、健また後でな。」
昼、午前のトレーニングの後にカフェテリアで昼食をとっているとまたデイブ。
「健、先月の月間新人王と月間MVPにお前が決まった。ダブル受賞だぞ。」
新人王はわかるけど、MVP?確かに3勝はしたけどな。
「先月おまえ11本(本塁打)打ってるだろ。そっちが評価されたんだよ。」
【沢村健の今季成績(通算)。】
打者
(左)打席136 打数118 安打40(長打25)四球12死球2敬遠1 犠打4 打点55 二塁打7三塁打1 本塁打17
(右)打席53 打数49 安打19(長打12) 四球3 敬遠1 打点29 二塁打3 本塁打9
(合計)打席189 打数167 安打59(長打37) 四球15死球2敬遠2 犠打4 打点84二塁打10三塁打1 本塁打26 打率 .353 出塁率.411長打率.892 OPS1.303
盗塁4
投手
(左)試合7 4勝1敗 51回 失点12 奪三振40 防御率2.12
(右)試合7 4勝 2敗 47回 失点14 奪三振36 防御率2.68
合計 試合12 8勝 3敗 98回 失点26 奪三振76 防御率2.39
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