万年補欠の下克上！！！（第3期）ー再転生した野球少年は底辺スキル「支援魔法」でメジャーリーグを駆け上がれ！

俺でスイッチが入るやつら。

7月30日（金）

ついに直接対決。

　いつもは閑古鳥が鳴きそうなドーム球場が満員に。人気がないのは「ドーム球場」ではなく「レイザース」の方なのだと思い知らされる。ヤーナーズの選手目当てのファンも多い。

　微笑ましいのは日本からお手製の応援グッズをもって応援に来てくれる子どもたち。新人王が近づいた20本塁打を超えたあたりから日本のスポーツニュースでも露出が増え始めたらしい。

　先発投手はこちらはウェズ、ヤーナーズはフューズ。彼は今季ヤーナーズの5番手先発投手枠を勝ち取った高卒6年目（ドラフト1位）の若手投手。すでに12勝をマークしている。

　俺は5番指名打者。

　試合は初回表から動く。先頭打者で安打で出たジーカーを一塁において球宴初出場男（まだ根に持ってる）スイッチャーの19号2ラン本塁打でヤーナーズが先制。彼も俺を見てるし（自意識過剰）。

　ただウェズはここで持ち直す。フューズも好投。俺に投げた最初の球なんかナックルカーブ。わかってても手が出ずストライク。どんな握りなんやろ？聞きたいなぁ。チェンジアップみたいな使い方が面白い。3球目の150km/hの4シームを右邪飛（ファールフライ）。

　4回の2度目の打席は思わず初球のナックルカーブに手を出してみる。（二死無走者だからいいか、というのもあった）。やっぱり一塁ゴロ。

5回終わって0対2。

　6回の3巡目、こちらもようやくフューズの球に対応できてくる。ショーンがヒットに出て、ナックルカーブがすっぽ抜けた（ワイルドピッチ）間に二塁へ。カールは右飛に倒れ、ドンゴは開いてた一塁へ歩かせられベーニャはゴロで二死三塁一塁に。

　４シームを待つことにする。例のナックルカーブを見送って2B2S。5球目の4シームは真ん中高め。見送ればボールだろうが思いっきりたたく。そのままライトスタンドへの逆転23号3ラン本塁打。

　「まだ同数（タイ）だからな。」

ベンチに帰ってくるとベーニャに笑いながら言われた。やっぱり本塁打数を意識してんのね。しかも目だけ笑ってねーし。新人（ルーキー）に対抗意識燃やすなって。

「まだね。」

思わず俺も煽り返してしまった。

　とにかくこれが決勝点になって1.5ゲーム差まで詰め寄った。ウェズが9勝目を挙げる。今月4勝目。おそらく「月間」新人王争いは俺と一騎打ちになるはず。

7月31日（土）

　今日も「ヤーナーズ効果」で満員御礼。なんか腹が立つけどこれが現実。

先発は前回ノーヒットノーランを達成したゲイザー。なんか「一皮剥けた」感を漂わせている。

　ヤーナーズの先発は大ベテランのハビエル・ベラスケス。ヤーナーズ自体が名選手を収集家（コレクター）球団ともいえる。これは貶（おとし）めているのではなく、いつかはビッグクラブで大金もらってプレーしたいというすべての若手の心の声である。皆それを目指して厳しい現役（サバイバル）生活を送っているのだ。

　試合は5回まで3対1とリードしていたが6回表にテシェイラの21ラン本塁打で追いつかれる。6回裏二死無走者、俺に打順が。そろそろ先発の疲れが見え始める。ベテランだしな。ベラスケスの初球はど真ん中へのカーブ。いわゆる昭和世代の言う「ションベンカーブ」だ。絶好球過ぎて思わず振りぬいてしまった。

　ライトスタンドへの24号ソロ本塁打。これで4対3。もちろん、これでヤーナーズが黙っているはずもなく、7回にスイッチャーの20号ソロ本塁打で再び追いつかれ、

8回裏再び二死無走者の場面。……勝負を避けられる。天下のヤーナーズに「隠れ」敬遠されるとか。ちょっと浮かれそう。

　と思ったのもつかの間、9回にクローザーのトリアーノがヤーナーズのクノに21号ソロ本塁打を打たれ4対5でチームは敗北。

　それでもチームは7月を19勝7敗の地区2位の好成績を終え、ワイルドカードでは5.5ゲーム差であり、ポストシーズンに一歩近づいた。

　8月1日（日）

　ちなみに、7月31日はトレードの最終期限日。なので「駆け込み」トレードで慌ただしく発表されることも多い。レイザースにも新たな戦力が。ジャド・コーラス。中継ぎ（ブルペン）投手で右投げ。アリゾナ・ダイアモンズからの移籍だ。投手陣の疲れが見え始める8月にはありがたい。

　疲れが見え始めるのはなにも投手陣だけでなく、ベテランのベーニャも右足裏の違和感を訴えて今日は出場を見送り、病院に行った。

「あんまり無理すんなよ、ベーニャの分も本塁打を打っておくから。」

俺が冗談半分で煽ると

「生意気いうな。」

とこれまた半分笑って怒った。

「ということでしばらく健には負担がかかると思うが頼んだぞ。」

ベンチコーチの言う通り、今日は4番指名打者での先発。

　先発投手はこちらがフィールズ、ヤーナーズはエースのサバティア。久しぶりの左腕投手（サウスポー）が相手だ。

　【沢村健の今季成績（通算）。】　

打者

(左）打席132　打数114　安打38（長打24）四球13死球2　犠打4 打点52　二塁打7三塁打1 本塁打16　

（右）打席49 打数46 安打18（長打11) 四球3 　打点27 二塁打3 本塁打8

(合計)打席181 打数160 安打56(長打35) 四球15死球2敬遠1 　犠打4 打点79二塁打10三塁打1 本塁打24 打率 .350 出塁率.400長打率.875 OPS1.275

盗塁4

投手

（左）試合7 4勝1敗　　51回　失点12　奪三振40　防御率2.12

（右）試合7　 4勝 2敗　　47回　失点14　奪三振36　防御率2.68

合計　試合12　8勝 3敗　　 98回　失点26　奪三振76　防御率2.39