ゲームの王様たち。
7月26日(月)
球場で解散するころには日付が代わっていた。
「夜更かししないでしっかり休息取れよ。まだまだ20連戦の3日が終わっただけだからな。」
「え?」
ショーンに背中越しに声をかけられて思わず振り返ってしまった。
「20連戦……だと?」
「知らなかったのか?スケジュールくらい頭にいれておけよ。中4日が5日に変われば調整のやり方も変わるだろうが。それに、マイナーの時の方が移動はキツかったろ?」
ショーンのド正論にぐうの音もでない。
「ほら、あれだ。
「ん?俺はあんまり冷房好きじゃないわ。」
しっかりと回復魔法と、絶妙なる深度調整した睡眠魔法で目覚めはさわやか。
早めに球場へ。やはり本拠地のジムの方がトレーニングははかどる。
本日からア・リーグ中地区3位、デトロイト・タイタンズを迎えての4連戦。
グラウンド練習に出ると日本人観光客が多くて驚く。多いといっても20人くらいか。アメリカ人に混じってサインを求めてくる。ちょうど1ドル=90円くらいの超円高だったせいもあるだろう。
夏場の「書き入れ時」、どのチームもそろそろ疲れが出始めるころ。タイタンズのスターティングメンバーのうち4人が今季デビューの新人なのだ。
こちらの先発投手はゲイザー。そして、今日の彼のピッチングは神がかっていた。6回までノーヒットピッチング。ただこちらも無得点なので0対0。これって本人に知らせない方が良いのかな?
「いや、俺らが点を取る方が先でしょ。」
一死からゾルディスト四球、カールのバットにキャッチャーミットが当たっての
組み立てはベーニャの時と同じだった。チェンジアップで入り、4シームを見せてカットボールで仕留める気だ。フルカウントからのカットボールはど真ん中に入ってきた。いうて151km/hのカットボールやからな。素直に振りぬくとライトスタンドへと突き刺さる21号
「健、すげーなー。」
ブルペンから戻ってきたゲイザーに祝福される。いや、今お前がやりかけているのはもっとすごいことなんだが。
8回にカールの12号ソロ本塁打で加点してハラハラドキドキの9回。あと一人となったところで新人のウォリスからベテランのサンディアゴを代打に。新人じゃこの場面はトラウマになるよな。見事に右飛に打ち取って
レイザースとしては球団初となるノーヒットノーランの達成だった。みんなが拍手で「英雄」を迎える。
「いつからノーノーを意識したの?」
俺が聞くとアイシングを受けながらゲイザーが答える。
「あほか?そんなん毎試合最初から狙ってんに決まってるだろ。お前は違うんか?」
「確かに。」
完全試合→ノーヒットノーラン→完封→完投→QSとだんだん目標はさげていく。
「お前も良い球持ってんだから、そのうちチャンスがまわってくるさ。がんばれよ、俺のようにな。」
うっわ、清々しいまでの上から目線のドヤ顔。気を遣いまくって損したわ。
7月27日(火)
タイタンズ戦2試合目はエース、ジャスティン・バートランダーが登場する。大学時代から異次元の活躍を見せた怪物。昨季の最多勝と最多奪三振の二冠王。あー、俺の先発とかぶらなくて良かったぁ。
もちろんどれだけの名投手とてノーチャンスなわけじゃない。初回、ベーニャがs球を選んだドンゴを一塁においてに21号2ラン本塁打。さすが昨季の本塁打王。
5番指名打者が俺。バートランダーのカーブを見切ったつもりが芯を外してファウルチップ。三振扱いか。少し悔しい。
4回の第二打席。うってかわって4シームで押してくる。なんだか試されている?さすがにそれは自意識過剰か。150km/h台の4シームだが前の打席で130km/h台の変化球で攻められているから余計に速さを感じる。
最後の4シームはナチュラルに変化させてきた。芯を外されての二塁ゴロ。正直ゴロでアウトになるのも珍しいから正直悔しい。
6回、先発投手のフィールズがダイモン、カヴレラの連打から2点を失い同点に。
その裏、二死ながら四球を選んだベーニャを一塁において打者俺。
ランナーのベーニャに
【沢村健の今季成績(通算)。】
打者
(左)打席118 打数102 安打35(長打21)四球11死球2 犠打4 打点50 二塁打7三塁打1 本塁打13
(右)打席49 打数46 安打18(長打11) 四球3 打点27 二塁打3 本塁打8
(合計)打席167 打数148 安打54(長打32) 四球13死球2敬遠1 犠打4 打点77二塁打10三塁打1 本塁打21 打率 .365 出塁率.410長打率.872 OPS1.281
盗塁4
投手
(左)試合7 4勝1敗 51回 失点12 奪三振40 防御率2.12
(右)試合6 3勝 2敗 41回 失点11 奪三振32 防御率2.41
合計 試合12 7勝 3敗 92回 失点23 奪三振72 防御率2.25
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