「目立たない」を目指すとたいてい失敗する
ちなみレイザースは前半戦を54勝34敗のア・リーグ東地区2位で終え、首位ヤーナーズまで2ゲーム差、3位レッドアックスとも2ゲーム差。ポストシーズンにワイルドカード(2位チームの最高勝率)としてはトップに立っている。
野球選手はなぜゴルフが好きなのか? それは『ケガ』をしないからだ。ほかの球技と違って個人競技であり危険な身体的接触もない。だからこそスプリングトレーニング中でもシーズン中のオフの時でもゴルフだけはレクリエーションとして認められるのだ。
ちなみに日本では「
7月12日(月)
さすがに13連戦後だったので1日休養を取り、オールスターゲーム当日にみんな(希望者)でゴルフ三昧。その晩はホテルで家族も含めてオールスターゲーム鑑賞(これまた希望者)というコース。
ただし、ゴルフ、そしてオールスターゲーム鑑賞会の時の家族サービス用のビンゴ大会には賞品が必要。それで昇格1年目のウェズとショーンと俺が買い出し担当なのであった。どうりでウェズがしつこく俺をゴルフに誘ったのかわかったぜ。(笑)
なのでほぼ一日、ウェズとショーン、そして俺とマシューで手分けして買い物だった。そういえばマシューはあまり出番はないが俺の雑事をやってくれているし、もともとはジャーナリスト(カメラマン)なので由香さんの仕事を手伝っている。
家族同伴可なので鑑賞会にはマシューに(彼の婚約者の由香さんも含めて)参加してもらうのだ。もっとも由香さんは俺の取材がしたいし、マシューはホテルでビンゴ大会のセッティングに立ち会ってもらうこともあるけど。
7月13日(火)
ゴルフコースは海岸線沿いにあってまさしく「オーシャンビュー」。本来は「人生初めて」のゴルフになるのだが、ややこしくなっては困るので「高校時代に遊び程度に。アベレージ?そんなん知らん」と申告しておく。
選手、コーチ陣の参加率は割と高かった。どんだけみんなゴルフ好きなんよ。監督は「みなで楽しんでくれ」とさすがに不参加だったが。
ゴルフで同じ組になったのはウェズとデイブ(ベンチコーチ)、バルッテリ、ケプラーの5人。で、最初の組。ようは上司と幹事の組なのね。クラブセットはマシューのを借りた。
「健、わからないことがあったら俺たちになんなりと聞いてくれ。」
オジサンたち教える気満々やな。
俺には「支援魔法」があるからな。とりあえず「命中率アップ」をかける。ようはクラブが球をヒットすればいいのと特定の座標まで球を飛ばせばいいのだ。そのためのショットとフォームは魔法による自動制御。
魔法の発動呪文は「チャー、シュー、メン」である。わかる人は俺の「
「健くんそれ……。」
カメラを回す由香さんが噴き出した。
「なんだよ、まっすぐ飛ばすとか面白みがない。」
露骨にがっかりする「オジサン」連中。初心者がもたついたらそれはそれでイライラするくせに。
7mくらいのロングパットも失敗せずにボールをカップに沈めると、
「お前初心者とか嘘だろ。」
と怒ってくる。なんで怒られるんだよ。
結局9ホールをイーブンパーで終える。クラブハウスで昼食。プラスマイナス0なら良くも悪くも目立たんだろ、という算段だ。と思ったら2位だった。俺が「?」を頭上に浮かべていると
「いや、お前のハンディキャップが20だからそうなる。」
とショーンがあきれ顔で言った。知らんかったもんは仕方ない。コースに出たのほぼ初めてだったし。
後半の9ホールはコンペではないので、競技には参加せずにカートを運転して子どもたちをパパたちの応援に連れていったりと裏方に。
終わって夕食会、そしてシアタールームでオールスターゲームの鑑賞会。(イニング交代の合間にビンゴ大会)。
試合はア・リーグが負けた。とはいえどっちが勝っても盛り上がるのがオールスターゲームのいいところではある。
1日終わってぐったり。さすがにこれは泊まりでないと無理だわ。
普段と違うところを動かしたせいでへんな疲れ方だ。
7月14日(火)
夜明け前に部屋の電話が鳴る。モーニングコールなんか頼んでないぞ。出るとショーンだった。
「健、朝イチでハーフ回るからロビーに6時集合な。ホテルもチェックアウトするからちゃんと支度しろよ。」
嘘だろ?断ろうとしたら
「デイブとゲイブ(ケプラー)がお前にリベンジマッチしたいんだと。拒否できないのわかるよね?」
あ……あんたらタフだな。
7月15日(水)
オールスターブレイク最終日。午前中は久しぶりに地元大学のプールの端っこを借りて水泳トレ。そして昼時に亜美と通話。試験前の勉強と女子野球ワールドカップの代表合宿が週末にあって殺人的スケジュールらしい。
「明日からまたニューヨークなんでしょ?なんだかあんたがうらやましいよ。野球のことだけ考えてれば良いんだもん。じゃあ、あたしもそろそろ寝るね。おやすみ。」
首位争いの直接対決からシーズン後半戦が始まるのだ。
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