「3番打者(新人)」VS.「永久欠番(予定)投手」
5月19日(水)
どの打順に最強打者を置くべきか?
俺の「中の人」のように「子供の時からエースで4番」という某「元気ハツラツ」飲料のCMソングで洗脳されてきた昭和の人間はまだ多いだろう。
ちなみにセイバーメトリクスではまずは2番、次いで4番が重要だとされている。
でもメジャーでは「3番打者最強」と長いこといわれていた。そこに「ぽっと出の」
相手の先発投手はベテラン右腕のA.J.バーキット。こちらはウェズ。
3番打者はあちらは昨シーズンの本塁打王テイシエラ。こちらは俺。
試合は先頭打者バードレッドの先頭打者本塁打に始まり、6回までに6点、さらに8回に4点を加え10対2。しかしヤーナーズも意地を見せ9回裏に4点を返す。だが、なんとか逃げ切って勝利。俺も2安打1打点と打ったのだがチームで15安打だったので目立たず。
5月20日(木)
今回のヤーナーズ戦は2連戦。なので
「なぁに、ニューヨークは何度でも来るんだからまた泊まれるさ。お前がここにいられる限りはな。」
みんなのドリンクの御用聞きをしながらウェズが言った。昨日勝ち星がついて4勝3敗と白星が上回ってめちゃくちゃゴキゲンである。
「いつかスイートルーム契約獲れるまで頑張るもん。」
「大きく出たな(笑)」
今日も引きつづき3番指名打者での先発出場。今日の相手の先発投手は左腕の大投手アンディ・ベティットだ。15シーズンで200勝以上を積み上げ、最多勝のタイトルも獲ったことがある。しかも、これまで勝利数で負け越したことがないという「鉄腕」。キャリアの大半をヤーナーズで過ごしており、背番号46は引退後は永久欠番、ゆくゆくは殿堂入りも予想されるすごい人。
まあこういう「化け物」に事欠かないのがメジャーのすごいところだ。しかも今季もここまで5勝負けなし。いや俺だってそんな年齢(38歳)まで投手をやっていられるとは思えない。
ヤーナーズスタジアムは「左打者に有利」な球場なのだ。右翼側が狭くてスタンドもせり出しているのに対して左中間が深く、左翼線も右翼線より少し長い。
ちょっとビッグネームにビビり気味の俺だったが先頭打者バードレッドが二塁打、クロスフォードのタイムリーヒットであっという間に先制点。ちょっと気楽になった俺。左打席に入る。少しボール先行気味なベティットの3B1Sからの5球目を弾き返すとライトスタンド最前列へ飛び込む3号2ラン本塁打。ほかの球場なら入ってなかったかも、ラッキー。
そこからはシーソーゲーム。ヤーナーズは2回裏の適時打と3回裏の本塁打で同点に追いつくが負けじと4回表のアップルトンのソロ本塁打で再び1点リード。その裏でヤーナーズは犠牲フライで再び同点。さらに5回表にクロスフォードの適時打と俺の犠牲フライで2点リード。
ベティットはこの回で降板。ベーニャの二打席連続の6号、7号ソロ本塁打で突き放して8対4。フィールズも7回1/3を4失点(自責点3)に抑え後続に託す。
9回に昨日と同じくヤーナーズの怒涛の反撃。四球と安打で出塁し、1番打者で主将のデレク・ジーカーの二塁打で2点差まで詰め寄るも
負けたヤーナーズファンには申し訳ないが、今日観に来たお客さんにとっては間違いなく野球の醍醐味が味わえた
それは選手も同じだったようでビールが進んでそう。明日も試合があるんだが。ただチャーター便なのでどれだけグデグデでも構わない気安さはあるよね。
俺たちは次の遠征先のヒューストンへと向かう。JFKからヒューストン国際空港まで4時間のフライト。ただ1時間の時差があるので到着するのは3時間後である。日本とは14時間の時差がある。半日+2時間か。計算が面倒くさい。
ちなみにこの時のヒューストン・アストロノーツはナ・リーグの時代。つまり指名打者制度がなく投手が打席に立つのである。
ヒューストンには元ロケット発射場であるジョンソン宇宙センターがあり、その縁でアストロノーツ(宇宙飛行士)のチーム名が付けられているのだ。現在はフロリダの「ケネディ宇宙センター」にその業務は移管されている。
ただ日本人的にはヒューストンにロケット打ち上げ場を置く意味がわからん。
「ひゅー、ストン」なんて音を立てて落っこちそうな名前じゃねーか。(昭和脳)
【沢村健の今季成績(通算)。】
打者
打席21 打数17 安打6(長打3) 四球3 打点8 本塁打3 犠打1 盗塁1
打率.353
投手
試合1 0勝0敗 7回 失点2 奪三振8 防御率2.57
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