練習試合へ Go!
平成22年3月1日。紅白戦2日目。トレーニングによる疲労もみなピークを迎えて⋯⋯というか午前中でみんな早々に引き上げて疲れるほどやってんのかい?
多分、見えてないところでそれぞれやっているはず。日本人の場合は一流選手になればなるほど「やってます感」を隠す人が多いけどアメリカ人はどうなんでしょう。どちらにせよ結果が出ればいいのだ。
今年のチームの打者部門、定位置確定と見られるレギュラーは5人。
昨年のオールスターゲームMVPのカール・クロスフォード。俊足巧打で1試合6盗塁とか言うトンデモ記録を昨年打ちたてる。三塁打が多く「ミスター三塁打」と呼ばれている。
BJアップルトン。19歳でメジャーデビューを果たした天才。3割を超える打率をマークする
イーヴァン・ドンゴリア。一昨年のアメリカン・リーグ新人王。三塁手。 昨年のWBCのアメリカ代表で俺は対戦もしてる。
そしてカルロス・ベーニャ。昨年の本塁打王。骨折で最終盤1か月欠場したのにだ。ただ打率は2割2分7厘と低かった。指名打者か一塁手。
そして、同じく一塁手兼指名打者のパット・レベル。通算10年で200本塁打超え強打者。キャリアハイは33本塁打だったけどレイザースに移籍した昨シーズンは不本意な成績で終わる。
俺もさすがに捕手と遊撃手はできんので、レギュラーに定着するには残った二塁手と外野手の残り一枠を争うしかないのだ。
そして争うのはジョアン・ロドリゲス、リード・ブライアン、ベン・ゾルディックそして俺。全員複数ポジション守れるというカオスっぷり。俺以外は遊撃手も争っている。
俺もやればできるとは思うのだが同級生に高城、そして亜美という名手がいたせいでトラウマなのだ。守備にまで魔法を使ってる(魔力的)余裕がなかったのだ。
今日の時点で50人ほどに絞られる。3日からの練習試合に行ける組と、同じ日からスプリングトレーニングに合流するマイナー組に行かされる組だ。
ここから最終日までには半分の25人まで絞られる。メジャー契約を結べる選手は40人。だがメジャー出場枠は25人なのだ。投手が半分。捕手が2人か3人。野手で残れるのは内外野合わせて10人だ。まさに狭き門。
「お前は投手でも残れる可能性があるからいいよなぁ。」
とりあえず練習試合に出場するクラスには入れた。俺は「二刀流選手」なので呼ばれるのは最後だったため、思い切りホッとした。
そして3月2日はやっと休み。キャンプ1週間で実戦に入るのだから日本に比べると早いよね。
休みなので朝から亜美と通話。
魔法による通話のためマシューに邪魔されないのがいいところか。亜美はキャンプが終わってオープン戦のシーズンだそうだ。新入生も卒業式が終わり次第合流するらしい。
「新入生と言っても男だよね?」
俺が「彼氏面」して心配したのがおかしかったのか笑われた。
「当たり前でしょ。なに?心配?もう自分のことでいっぱいいっぱいだよ。私はあんたの方が心配だけど。」
一軍二軍に分かれ、一軍は社会人や他の大学一部リーグのチームと、二軍は二部リーグのチームとの試合が組まれているそう。亜美は一軍。
「プロの二軍ともやるかも。」
「凄いな。」
俺が感心したらまた笑われた。
「結構同年代だし。それにあんたが相手してる怪物たちとは違うんで。」
そ⋯⋯それもそうか。結局、せっかくの休みだと言うのにマシューとショッピングモールに行って終わる。
3月3日。
練習試合初戦。ポートシャーロットから北へクルマで30分くらいのところでキャンプを張るボルチモア・オーソドックスと試合だ。同リーグ同地区のライバル同士。植原さんと対戦できるかな。
植原さん、スプリングトレーニング始まっていきなり左の太もも裏をやったらしい。
先発はエースのフィールズ。野手は開幕メジャー当確ラインギリギリの連中が並べられる。俺は7番一塁手スタート。さて、新型魔法の実地試験だ。
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