EP27 幼馴染の足にキス!
一体私は何を言っているのだろうか、早急にどうにかしなければ。
「な!何言ってんだろうね私!?ごめんね忘れて……あはは…ははは……。」
そう言いながら差し出した足を引っ込めようとした。だがその瞬間、彼の手が神速で私の足首をがしっと掴み、そのまま口元へと引き寄せた。
「っ!?」
彼の顔が私の足に近付く。表情はよく見えないが、鼻息が感じられるほどの距離まで接近している。そして彼は一瞬の、けれど永遠にも感じられた後に足の甲に唇を寄せてキスをした。
「ひぅっ!?」
キスされたところがこそばゆくて、私は思わず足を引っ込めようとした。けれど彼は凄まじい力で私の足を掴み、それを許してはくれなかった。彼はそのまま舌を這わせて甲を舐め始める。
「っ!ちょっ……くすぐったい……やめて……。」
私の懇願を無視して、彼は舐めるのをやめない。私はくすぐったさから逃げるように足を引いたが、凄まじい力で掴まれていて逃げ出すことができなかった。
「やだぁ……やめてぇ……」
私は泣きそうな声で拒絶するが、彼は口を離してくれない。ざらついた感触が肌を蹂躙し続け、舌が滑る度にぞわぞわとした感覚に襲われる。
「やめて……お願いだからぁ……。」
私は羞恥と混乱で頭がぐちゃぐちゃになって、ただ懇願することしかできなかった。しばらくして満足したのだろうか、彼はようやく口を離してくれた。
足とレイの口の間に銀色の橋が架かり、彼がゆっくりと顔を上げる。
「サナエ……」
私を見上げる彼の表情は普段の彼からは想像もできないほど目尻が垂れていて、頬も紅潮している。それはまるで餌を待つ飼い犬のような瞳で、私は心奥からナニカが込み上げてくるのを感じる。
「れ……い……?」
「ごめん……もう……」
それを理解するより早く、彼は再び顔を足に寄せ、指を口に含んだ。
「ん……んぁっ……。」
自分でも聞いたことのない甘い声が漏れる。生暖かい口の中で舌が絡みつく感覚に身体が震える。指一つ一つをねっとりとしゃぶられて、それが何度も繰り返される内に段々くすぐったさ以外の別の感触が生まれてきた。
「な、なんでぇ……っ、こんな……っ。うぅ……んぅ……はぁ……。」
自分の口から洩れる甘ったるい声に驚く。身体中が熱いし力が入らない。その隙に彼は裏まで侵略を始め、べろべろと舐め上げてきた。
「だめぇっ……。そこはホントに汚いからぁっ!」
未知の感覚に恐怖を覚え、私は咄嗟にもう片方の脚でレイの頭部めがけて蹴りを入れる。心苦しいがここまでの事をされているのだから問題はない筈だし、彼を正気に戻すためなら致し方ない。だが彼は凄まじい反応速度で足首を摑むと、そっちの足も自分の口元へと引き寄せた。
「やっ!?やだっ!お願いだからっ!」
私は必死に抵抗して足をばたつかせるが、彼の力には到底敵わない。両方の足裏を執拗に舐められ、私は頭がおかしくなりそうだった。
「ひゃあぁんっ!やだぁ……っ!やめてよぉ……っ!」
自分でも聞いたことのない様な嬌声が漏れる。身体がビクビク震えて、もう身体に力が入らない。それなのに彼はひたすらに舐り続ける。挙句踵まで甘噛みされ、私は成す術なく足を犯された。
「あっあっあっああぁっんぁっ!」
抵抗の意志も消え去り、もう口からは言語にならない声が漏れ出るばかりになった。身体の奥底から疼く様な感覚がどんどん強くなっていく。
「なに……これぇっ!変なのっ!何か来るっ!」
今朝の自慰にも似た、だが全く違う感覚が身体中を駆け巡る。
「来ちゃうっ!何か来ちゃうっ!」
最早それを避ける術はないかに思えた。けれど、突然彼は舐めるのをやめた。
「っ……な、なんで……」
もう少しで何かが来そうだったのに急にやめるなんて……という思いを込めながら私は彼を見る。
その表情を見て私は驚いた。何故ならレイは私の方を見ておらず、顔が先程までとは反対に真っ青となっていて冷や汗をダラダラと流していたからだ。
視線の先にあるドアは開いており、そこには私の両親がいた。
「やっべ……」
そう呟くと同時にレイは逃げようとするが、お父さんが鬼の形相で突撃。拳を叩き込まれたレイはギャグ漫画の様な吹っ飛び方で壁に激突し、目を回しながら気絶した。
*
『キス……してみる……?』
その声によって理性を破壊された後、何を考えていたかを思い出す事はできない。けれどサナエの足、その舌触りや匂い、香ばしい味は魂に刻み込まれていた。夢にまで見た事象はこの上ない幸福感を生み出し……もう現実逃避は止そう。
「何をやっているんだ君はァァァァァァ!!!」
「落ち着けアキラ君!」
正座する俺の前で激昂しているアキラさんと、それを羽交締めにして必死で食い止めている父さん。
「離してくださいジェイソンさん!いくら貴方の息子でも俺はァァ!」
けれどそれを見兼ねたロロエさんがハリセンを持ち出し、引っ叩く事でようやく落ち着いてくれた。どこからそんな物を取り出したのだろうか……。
「はいそこまで。アキラくんの気持ちは分かるけど、僕達の久々の会話が血みどろ大決戦になって良い訳ないでしょ?」
「だが……!」
「ここは僕とイヴちゃんに任せて。」
まだ不満げなアキラさんを横目に、ロロエさんは母さんと一緒に俺に向く。驚くべき事に俺の記憶と今の彼女はほとんど変わっておらず、サナエと並んだら姉妹と間違われる若さを維持していた。それはアキラさんも同じで、ここにいる全員が同年代と言っても信じてもらえるだろう。
「正直に言って今回の件はお互い様だと僕は思う。話を聞く限りそういう雰囲気になってもおかしくないし、第一誘ったのはサナエちゃんの方だ。でもねレイ君、君はキスで留めておくべきだったんだ。それだったら僕たちに見られることもなかっただろうし。」
「……おっしゃる通りで。」
俺はただ項垂れるしか無かった。『自分のフェチズムに振り回されぬように。』そう注意されたのをもう忘れたのか。
「今回はサナエちゃんが許してくれるから私たちも大目に見るけど、次はないわよ?」
「分かった……ごめんなさい……」
「謝るのは私じゃ無いでしょ?」
「……はい。」
俺は向かい合って正座するサナエの方に身体を向けた。彼女は傷ついたのか、顔を真っ赤に染めながら俯いていた。
「ごめん……サナエ……俺の所為で君を怖がらさせてしまって……。」
「良いの……。私だって……その……嫌じゃ無かったし……。いや言いたいのはそんなんじゃ……ええっと……っ!」
だが彼女は俯かせていた顔をばっと上げて俺を見ると、両腕を広げながら言った。
「……ハグ一回、それで許してあげる。」
「…………え!?」
「イヴさんから聞いたの……ソフィアちゃんが君を、ハグで許してあげてるって、だから……」
なあ母さん俺が気絶している間にどんな話した?一体何をサナエに吹き込んだ??そんな感情を視線に乗せて母さんズを見るが、彼女らはとても良い笑顔を向けてきたざけんな。
驚くべきことにその後ろでは今もなお成人男性の格闘戦は続いていた。
「私はもう負けたくないの……何度も言わせないで……っ!」
そう言う彼女の表情は羞恥と決意の入り交じっていて、けれど彼女の覚悟は本物で、俺の返答を静かに待っていた。俺は迷ったが……膝立ちで近づくと、そのままサナエの身体に自身を埋める。
「分かったよ……これで許してもらえるならいくらでも……。」
俺は彼女を抱きしめると一瞬身体をびくりと震わせたが、次第に力が抜けて俺の身体に身を委ねてきた。
「良いよ。許してあげる……」
彼女はそう言うと俺の頭に頬ずりしてくる。女性陣からは黄色い悲鳴が上がり、ことの顛末を見ていた男性陣もため息交じりではあるが、穏やかな笑みを浮かべているのを隙間から見えた。いくら何でもチョロ過ぎないか?
だがそれでも暖かさと柔らかさ、そして爽やかな甘い香りを全身で感じられるのは幸せだった。
「ねえレイ。」
しばらくそうしていた後、彼女は俺の耳元に口を寄せて囁くように言った。
「許してあげる。」
「ありがとう……。」
けれど負けたくないとは、一体何が誰に対してなのだろうか?そんな俺の疑問が察せられるわけもなく誰もが和やかな気分になっていた。
やがて満足したのだろう。彼女の腕が緩み、俺は彼女から身を取り出した。
「そういえば……」
雰囲気的に発言権が戻ってきた事を察し、俺は前から持っていたある疑問を口にした。
「なんで店が閉まってるんだ?そろそろ夕方の開店時間でしょ?」
俺の裁判に選ばれた場所は自宅に隣接する飲食店『飲亭』だった。この店は11〜15時と17〜22時を営業時間としている。今は5時半くらいだろうか。
「ああそれか。実今日はアキラくんが貸し切ってるんだ。なんでも最近力を入れていた研究が身を結んだみたいでさ、その祝いだ。」
なるほどそういうことか。
「これからここに二十人が6時半くらいにやってくるのよ。」
「ああおっけ……ん?それってあと1時間くらいしか無いじゃん!間に合うの!?」
「無理だろうな。」「でしょうねぇ。」
焦る俺とは対照的に涼しげな顔を両親。良いのかそれで。
「そう言う訳だからお前も手伝ってくれ。すでに下ごしらえはできてるから、後はお前とソフィアでも十分できるだろ?」
「……さては最初っからそのつもりだったな。」
「さあな?」
相変わらず強引な男だ、けれど悪い気はしない。俺はすぐに立ち上がると調理に向けて動き始めた。
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