プロローグ(本編)

「暑っつ…」


太陽が人々からやる気を奪っていく7月半ば、俺…小鳥遊たかなし 優也ゆうやは誰もいない教室で誰に聞かせるでもなく呟いた。


いや、本当に暑っつい…。教室にはクーラーが付いているのだが省エネだ節電だとかで休み時間の使用は禁止されている。いや熱中症なるわ。昼休みとか言う一番長くて暑くなる時間帯にクーラー使用禁止はマジで死人が出る。…一応代わりに窓や扉を全開して風を取り込もうとしているが、今日は全然風が吹いておらず、少し風が来ても焼け石に水程度の効果しかなかった。だから今教室は少し涼しいサウナ位の蒸し暑さになっている。


そんなんだから最近では皆昼休みになると弁当持ってる持ってない関係なく食堂へ飯を食べに行く。食堂はクーラーが付いてるからな。え?俺は行かないのかって?馬鹿言え、あんな人多いところ誰が行くかよ。


大体何でこんな暑いのに学校なんぞに来なければならんのか。最近ではインターネットが普及しているんだからオンライン授業とかでいいじゃないか。そうしたら皆こんな暑さに苦しまずに済む…いや、やっぱりいいわ。家でまで勉強したくないわ。


閑話休題


「あ~…死ぬ…」


やっぱり今からでも食堂行った方が良いだろうか。いやでもなぁ…と俺が机に突っ伏しながら葛藤していると…


「━うわっ、死体だっ」


不意に教室の入り口から声が聞こえてきた。俺はその声の主を確認して「…勝手に殺すな」と返しておいた。声の主はそれを聞くと呆れたような顔でこちらに向かってきた。


「よ、優也。勝手に殺すなもなにもこんな暑い場所で机に突っ伏してたら死んでると思うじゃん。そもそも、何でこんなに暑いところに居れるのさ」

「いや晴斗はると、この暑さも慣れたら涼しいもんだぞ」

「さっき『あ~…死ぬ…』とか言ってたよね?」

「…聞いてたのかよ」


「聞こえたんだよ」と苦笑しながら言うこいつは園部そのべ 晴斗はると。爽やかな好青年イケメンで、俺のたった一人の友人だ。


「と言うか、水分とかちゃんと摂ってる?さっきから凄く汗かいてるみたいだけど。」

「あ~…忘れてた…って、水筒の中の水さっき切らしたんだった…買いに行くか…」

「あ、それなら僕も行く。ちょうどスポドリ飲みたかったところなんだ。」


ここで「ついでに買ってきて」って言わない辺り、性格の良さが出てるよな


「おう、じゃあ行くか」


教室を出て、中庭にある自販機へと向かう。その道中の渡り廊下を歩いているとき、中庭から笑い声が聞こえてきた。窓から中庭を覗くと、そこにはベンチでお弁当を食べている二人のクラスメートの姿があった。


「あ、聖女様だ」


晴斗がその光景を見てそう言った。

晴斗が言っているのは二人いるクラスメートの内の片方、檜山ひやま かえでだ。


腰ぐらいまである金色の長髪にマリンブルーに輝く瞳。整った容姿と稀に見せる底抜けの明るさを持ち、お淑やかな誰にでも優しく成績優秀な優等生。


そんな彼女は学年問わず人気があり、『聖女』と言うあだ名が付いている。確か彼女に告白したってやつ、もう60人は越えるんじゃね?…男女問わずだけど。


「あ~檜山か、道理で中庭を覗く奴らが多いと思ったわ。」


俺はこの渡り廊下まで来る時に見かけた光景を思い出した。凄くびっしり人がいたから何事かと思ったわ。


「いや~いつ見ても綺麗だよね。優也もそう思うでしょ?」

「まぁそうなんじゃないか?」

「つれないなぁ…聖女様を見て何も思わないのかい?」

「美人だとは思うがそれだけだな」


確かに檜山を見て綺麗だとは思うが恋愛感情などは一ミリもなく、それ以外の感想が出てこなかった。


「聖女様の隣の席とか言うとてつもなく羨ましまれるポジションにいるくせにこれだもんな~」

「好きでいる訳じゃない。…早く行くぞ」

「へいへいっと」


軽口を叩きながら、俺達は中庭へと向かうのだった…。



………後書き……………………


最後まで見てくれてありがとうございました!作者です!この話しは、昨日公開したプロローグの修正版となっています。知り合いにダメ出しされて書き直させていただきました。展開的には昨日のやつと変えるつもりはありません。そこはご了承下さい。


それと、昨日のプロローグを見てフォローしてくださった方本当に有難うございます!これからも頑張りますので応援よろしくお願いします!


コメントや良いね、フォローとかしてくれるとモチベが上がるのでよろしくお願いします!


それでは、次回をお楽しみに~


誤字修正しました!

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