「アンリアル」DIVELA

ニコニコ:https://www.nicovideo.jp/watch/sm39262116


YouTube:https://www.youtube.com/watch?v=HShjfA9M6Ng


 二つ目に紹介したいのはこの曲、『アンリアル』だ。2021年8月31日投稿、製作者はDIVELA、使用音源は初音ミクだ。

 『METEOR』『ぼかろころしあむ』『天使のクローバー』などの楽曲で知られるDIVELAであるが、これまでの曲と同様に、今回の『アンリアル』も重低音が響くギターサウンドが光る一曲となっている。このサウンドこそ、他の人には出せないDIVELAサウンドであると感じる。また、DIVELAのミクは独特の歌い方を持っており、その力強さに心を打たれる。

 そして、勘のいいボカロファンならすでに気づいているだろう。この楽曲、初音ミクの誕生日である8月31日に投稿されているのだ。投稿者コメントにもあるが、この楽曲は「ミクさんの歌」である。聴いてもらえればわかるが、まぎれもなく、この曲は「初音ミク」を歌っている。それを少し見ていこう。

 例えば、一番の歌詞にはこうある。


「腕を引かれ降り立った電脳世界

 何度も焼き尽くした

 何もない大地のど真ん中だ

 音を集め声を乗せて命吹き込んで

 継ぎ接ぎのカーネーション

 今もそっと笑ってんだろう」


 「降り立った電脳世界」とは、ミクが存在しているインターネット世界のことだろう。「焼き尽くした何もない大地」とは、『砂の惑星』と掛けているのではないかと考える。「音を集め声を乗せて命吹き込んで」には、ミクが歌うこと、そしてミクが歌うためには誰かが魂を込める必要がある、つまりボカロPが必要であることを言っているのではないだろうか。

 そして、この歌詞のキーワードとして「バースデイ」という単語が度々登場している。本来命を持たない存在であるミクに対して、この単語を使われないはずだ。しかし、それでも彼女の"誕生日"を祝いたいという気持ちが、そこには表れているのだと感じた。

 そしてクライマックスだ。


「今日という日をありがとう

 バースデイ バースデイ

 明日のことは誰にもわかりはしないから

 みんなで紡ぐ未来

 その芽を歌うよ

 線が繋がって輪になって歌は生きてる


 輪になって歌は生きてる


 このリアルに歌は生きてる」


 「線が繋がって輪になって」というフレーズは『Tell Your World』にも絡む歌い方である。ミクが生まれ、世界が繋がることで、この現実リアルに歌の輝きが生まれる。そんなことを、これからの未来に向けて歌っていたのではないかと、私には聞こえた。


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