大会の準備・当日

「美穂ちゃん、最高の案だよ!」

「間宮さん、すごいね」

「なんか準備も楽しくなるね」


女子だけで集まった時、美穂に声がかかる。


「みんな、そう言ってくれて、ありがとうございます。衣装係に人たちは大変になるかもしれんけど、手伝うので、、、」


「美穂ちゃん、クラスメイトに硬すぎ!!」


優香が美穂に指摘する。


「え?なして?」


「みんな同い年だよ?ふふふふ。なんで敬語使うん?いいやん、楽にいこうよ、ほら!」


「あ、、、うん、、、じゃあ、みんなよろしくね」



「よろしく!」

「美穂ちゃんって呼ばせてもらうね」

「衣装係も頑張っちゃうよー-!」



クラスメイトからの言葉に美穂は笑顔を見せた。

少しずつ、優香以外の女子とも仲良くなっていった。



「あ、あのさ、、アイドル役のことなんやけど、、、男子がしてもいいよね」



美穂がアイデアを出した。


「いいね!面白そう!」

「美穂ちゃん、かなり頭冴えとるやん!」


「いや、、、」


地味ガールである美穂は他人に褒められることすら、慣れておらず、どういう反応をしたらいいのか分からずにいたが、心の中ではすごく喜んでいた。


『こんなに、自分の意見でみんなが認めてくれるなんて、嬉しすぎる、、、どう表現したらいいか分からんけど、ありがとう、、、』



それから、まとめ役の美穂と優香は何度か放課後にクラス全員に話をし、仮装大会のに向けて準備を進めていった。

女子は団結力があったため、放課後も残って準備をしてくれていた。美穂は男子が準備に参加してくれるか不安だったが、竹本くんのおかげか、男子も美穂の意見に賛成して、一緒になって、頑張ってくれた。



「放課後も残って頑張ってくれて、ありがとうございます」


美穂は男子の方にお礼を言いに行った。


「おおお、美穂ちゃん!美穂ちゃんのためなら、みんな頑張るばい、なぁ?」


男子たちはにやにやしながら、頷いた。


「で、さっき話した通り、男子にもアイドル役ばしてもらいたいんですよ、、、」



男子たちがざわざわと言う。


「あー言いよったね!」

「ここはやっぱり、竹本じゃない?」

「ダンス得意の相馬もいいやん」


「まぁまぁ、、、みんなが俺のダンスを見たいのは分かるばい?でも、ここは美穂ちゃんの意見も欲しいよなぁ」


相馬くんは美穂に聞いた。


「いや、、、」


「素直に言ってみ?」


「正直に言いますと、、、皆さんの中で、立候補してアイドル役をする方はいらっしゃらないと思いましたので、このような流れになることは予想出来ていました。なので、竹本くんと相馬くんがしてくださるのかと、、、」


「美穂ちゃん、俺ら、同い年な?」


「そんな簡単に話せません、、、では!皆さんで話し合って、アイドル役を2名決めていただけたら幸いです」


美穂は女子たちが居る場所へ逃げた。


「はぁはぁ、、、」


「美穂ちゃんどうしたん?」


「だ、、男子の前で一人で話すなんて、、、死ぬ、、無理、、、」


「うける!!美穂ちゃん」

「よく頑張ったね」


「え、あ、、、ありがとう」


美穂は自分の行動に恥ずかしくなってきた。優香が美穂をからかう。


「美穂ちゃん、顔赤くなってるよ!可愛い、、、」


「馬鹿にしないで、、、恥ずかしい、、、」


「男子たちも嬉しかったと思うよ!美穂ちゃんが話してくれて」


「いや、、、」


「美穂ちゃん、『いや、、、』っていうの禁止ね!」


「えええ」


「美穂ちゃん、いつも自分のこと否定するもん」


「いや、、、」


「ほら!!」


「優香には敵わない、、、分かった」


「よし!美穂ちゃん準備進めよう」



ー-----



運動会当日。


短距離走や2年生の組体操、応援合戦など、行われていった。


ついに、運動会名物と言っていいであろう、3年生の仮装大会の時間となる。

美穂たちのクラスは準備をしていた。

優香を含む女子の4名と竹本くん、相馬くんはアイドルの格好をして、写真を撮り合っていた。美穂はオタク役であったため、チェック柄のシャツにジーンズ。もちろん、シャツはインして、眼鏡をかけた。髪を結び、バンダナを頭に巻いた。



「え、あれ、誰!?」

「めっちゃスタイルがいいオタクやん」

「なんかかっこいいんやけど」



クラスメイトがざわついているのを美穂は不思議に思いながら、キョロキョロとしていた。


「あれ、美穂ちゃんじゃない?」


優香が言う。


「は?私?」


美穂は眼鏡を外し、優香に問う。


そう、クラスメイトが言っていたのは、美穂のことだった。普段は制服しか着ないため、ジーンズ姿で過ごす美穂は、クラスメイトにとっては真新しく、そして、スタイルも良かった。身長も160センチ以上はある。



「間宮さん、すげぇ」


一人の男子が言った。すると、


「な!?言ったろ!?美穂ちゃんはすごいんだ、この姿でも美しい、かっこいい。そして、このスタイル、、、、、」


と竹本くんが話すが、途中で言葉が途切れた。竹本くんは美穂のスタイルの良さに見とれてしまっていた。


「何?」


美穂が竹本くんに言うと、彼は小声で言った。


「美穂ちゃん、最高やね」


そう言って、アイドル役の方へ行き、ダンスの練習をし始めた。



『竹本くん、何言いよるんやろ、、、みんなも何言いよんのか、、、』



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