急な距離
放課後学習が終わって、帰る準備をしていると、相馬くんと竹本くんが真美のもとにやってきた。
「真美ちゃん!!仮装大会のまとめ役になったとやろ!?すげぇやん」
「優香に誘われて、なっただけ!!私が自分で立候補するわけなかたい!相馬くんやったら、私の性格知っとるけん分かるやろ!!」
「そうやろうけどさ!!これで、しょんぼり真美ちゃんとおさらばやな!!」
「待って相馬くん。しょんぼり真美ちゃんって何!?ネーミングセンス!!」
「だって、竹本がそう言いよった」
「え、、、」
「真美ちゃん、いつも『私、地味なんで、、、』って感じで過ごしよるやろ!?俺はそれが納得いかん!!真美ちゃんは胸張って、生活しなさい!!」
竹本くんが真美に話す。
「竹本くんが言いよったん?しょんぼり真美ちゃん、、、」
「ってか、相馬と真美ちゃん、仲良かけん、嫉妬する!!」
「竹本も真美ちゃんと仲良くすればよかやん、ははは」
「いえーい、真美ちゃん仲良くいこうぜ」
真美は照れながら、頷いた。
『相馬くん、、、ありがとう、、、』
何故か、そのまま3人は一緒に帰ることになった。
「いやー、真美ちゃんは数学出来るけん、うらやましいよなぁ。今日もさ、数学の時間ウトウトしてたんやけど、真美ちゃんがスラスラ答えているのを聞いて、起きたもんね、俺!!」
竹本くんが話す。
「竹本、ウトウトしちゃいかんやろ」
「相馬だって、今日の現代文の授業、爆睡やったやんか!!」
「目を瞑って考えてただけやしー」
「あれは完全に寝とった!!ねぇ、美穂ちゃん」
「え?相馬くんのことなんか、授業中全く見とらんよ」
「ん?美穂ちゃんって毒舌言っちゃう系?」
「竹本、知らんかったとか!美穂ちゃんは隠れ毒舌キャラや!」
「私は隠してないし!そう思っとると相馬くんだけやろ」
3人の会話は途切れないままであったが、竹本くんだけバス停の場所が違ったため、会話の中途半端はところで別れた。
「「またねー」」
「美穂ちゃん。竹本のやつ、仲良くなれて嬉しそうやったな!仮装大会のまとめ役の話も、竹本が先に聞き入れて、真っ先に美穂ちゃんのところ行きたいって言い始めてさ!」
「ふーん、面白い人やね、竹本くん」
『なして!?なして私のところに行きたいなんて思うと!?』
美穂の頭の中は正直パニック状態というか、追いつけていなかった。こんな楽しい放課後を過ごせるなんて思ってもいなかったのだろう、、、。
翌日からも美穂と竹本くん、相馬くんは3人で放課後を過ごすようになった。美穂は竹本くんに恋心を抱きながらも、少しずつ心を開き、普通に話せるようになっていった。
「ごめん、今日担任に呼び出された!竹本と美穂ちゃん、先に帰っとって!」
ある日、相馬くんが課題を忘れたことで担任の教師に職員室に来るように言われた、とのことで、残った美穂と竹本くんは初めて、二人で帰ることになった。
『二人なんて、、、初めてすぎて。いつもどう喋りよったか忘れた。どがんしよう、、、落ち着け、私!!』
美穂は少し焦りを感じたが、平常心を保つようにしていた。
「相馬、どんまいやなー。美穂ちゃん帰ろうぜ」
「あ、うん」
二人は靴箱へと向かった。美穂の心はドキドキしていた、、、。
「美穂ちゃんってさ、課題とかいつも完璧にしとるん?正直さ、美穂ちゃんと仲良くなったっていうか、きちんと知り合ったのが、まぁ最近やん?やけん、美穂ちゃんのことを詳しく知りたいなーとか思ったりしてー--」
「いきなり、そげん言われても、、、」
「いいやん、色々知っていこうよ」
「課題はね、ちゃんとしよらんよ、本当に。私の今日の日本史見た?全く課題してなくて、当てられた時、答えられずにちょっと怒られた」
「それは見た!あれは、ただ分からんかったんかなーって思いよった」
「現代文の課題も、今日の朝したんやけんね」
「美穂ちゃん、意外と課題をしてないこと判明した」
「数学も出来る方とか言われるけど、課題はしよらん。笑えるやろ」
「美穂ちゃんのそういう所好きや」
『!?!?』
美穂は『好き』という言葉に反応してしまい、慌てた。
「どした?」
「いや、なんもなか」
「美穂ちゃん、なんか親近感湧くわ」
「竹本くんも、生物でめっちゃ答えられよるやん」
「生物は好きなんよね。ってか、選択授業が同じってすごくない!?俺ら」
「あ、本当やね、相馬くんは違うもんね、はははは」
美穂たちの授業では選択授業があった。これは目指す大学の分野で自分で選択できる。社会科の授業では、世界史・日本史・地理、から一つ。理科の授業では、生物・物理のどちらか。偶然にも、美穂と竹本くんはどちらも同じであった。
「じゃあ、これから一緒に勉強できるね。課題の見せ合いも出来る、最高やん」
「それは最高やね、よろしくね」
美穂がそう言うと、竹本くんは美穂と肩を組みスキップし始めた。美穂はそれについて行こうと小走りした。
「間宮さんって竹本くんと仲良かったっけ?」
「あれ、間宮さん?」
「なんか珍しい」
周りから、他のクラスメイトの声が聞こえ、美穂は恥ずかしくなったが、竹本くんの足は止まらない。
「竹本くん、このスキップはいつまで続くん???」
「ずっと!!」
「なんそれー--」
『竹本くんのこういうところも好きなのかもしれん、恥ずかしいけど』
二人はバス停が分かれる場所まで、スキップと小走りという妙な光景のままだった。
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