フィルターの向こう

自分が生きる場所は確かに現実である

それは当たり前だが

仮想現実とはイコールで結ばれない


フィルター代わりの眼鏡とイヤホン

世界と僕との透明な壁と 

雑音を消し去る雑音


そんな必要の無い眼鏡を通して

この世界の見えない部分を見ようとしている

どうでもいい音で耳を塞いで

この世界の鼓動を探している



それによって踏みこんだ非仮想現実

他人から見れば 

それは単なる現実とイコールで繋がる


わざわざ見上げなくてもいい快晴と夜空

空というものの境目だとか

どうでもいいことなんだけど考えてしまう


昼間に見えた 

白い月の存在を気付いてしまった時

気付いた奴の数を知りたいと突然思ってみたり

夜空に見えた 黄色い月の光を

気に留めた奴の気持ちを感じたいと考えてみた


それでも何処かで

白い月の存在に気がついたのは 

自分だけであって欲しいと願ってみたり

先程まで黄色い月が蒼かった事まで知っていたか?

そう意地悪に問いたくなる心



非仮想現実と現実ですら

イコール繋がらない僕だから

非仮想現実の仮想現実は現実の非現実とも

歪んで真っ直ぐ伸びた僕の心には 

イコールでは繋がらない


現実と非現実という二つの空間が

ほんの少し重なった場所を歩いているから

混濁した唯一の場所


それはきっと僕自身なのだろう

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