紺碧の翼(11)
ガーディアンが生んだ黒い昆虫型のコムザンに各国の軍は苦戦していた。
ミサイルが命中すれば焼失するのだが素早くてなかなか当たらなかった。
黒いコムザンがばら撒いた細菌から2日程で新たなコムザンが生まれた。コムザンが着実に増殖していた。
「無人機ですか……」
基地の会議室でパソコン越しにジャックと話していた鈴井は頭を押さえた。
「追跡ミサイルでもはずれるのに効くのですか?」
「これ以上強力な兵器は市街地では使えないからな」
「パッとやっつけられたいいのにな。敵も生き物だから弱点位あるだろう」
「そうだな。本部でエディ達が研究しているから生態が分かればいいのだがな。とにかく無人機を使う作戦を上層部が検討している。君はそれまで待機してくれ」
ジャックは通信を切った。
「はあ……どうするんだよ」
鈴井はため息をついた。再びジャックと通信が繋がった。鈴井は驚いて姿勢を正した。
「言い忘れた事があった。君の件だが問題が全て解決した。身元を隠す必要がなくなったから来週から家族や知り合いとの接触が可能だ。君のお母さんには今度の週末に日本支部から話をする。良かったな」
「本当ですか!」
鈴井は思わず立ち上がった。
「本当だ。当分の間、国連軍ではスズキのままだが任務が一段落したら日本へ帰ってもらううつもりだ。頑張れよ」
ジャックは明るく言って通信を切った。
「やった。でも問題が解決って……まあいいか。面倒くさい事は解決したって事で」
鈴井はパソコンを持って鼻歌を歌いながら部屋を出た。
「今日は荒れているな」
寺の縁側で克了は空を見上げた。空には数体のシーヴィが飛んでいた。その内の一体が庭に降りて来た。
「醜い姿だ。それでお前は強くなったつもりか」
克了は憐れむように話しかけた。シーヴィは目を細めて黙って克良を見た。
「克了さん!」
寺に戻って来た佐仲が叫んで魔獣を召喚した。魔獣に驚いてシーヴィは赤銅色の翼を広げて飛び去った。
「大丈夫ですか」
「ああ大丈夫だ。山に住んでいた奴が遊びに来たようだ」
駆け寄って来た佐仲に克了は穏やかに答えた。
「ここも危なくなりましたね。引っ越しますか」
「どこに逃げても一緒だよ。魔獣や怪獣にみんな明日には殺されるかも知れない身だ。不安なまま生きるしかないのさ」
シーヴィが飛び交う空を克了は見上げた。
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