2 Fortress wall in the city.

二十一世紀 to be 二十四世紀

 今より三百年前のこと。異世界より現れた侵略者、アンヴァラスは、地球上の至る国へと侵攻を開始した。当然、日本もその対象から外れることはなく、当時首都として栄えていた東京という街は、真っ先に戦場と化したと言う。


 最新の兵器。最大限の兵力。当時持てるだけの戦力を以て、アンヴァラスの撃退を試みはしたものの、全ての戦いで敗退。あっという間に、東京を含む幾つもの街が放棄されることとなった。その後幾度も反撃を試みるも、いかなる兵器でもアンヴァラスを撃退することは叶わず、日本の兵力は後退し、徐々に南下を余儀なくされた。撤退に次ぐ撤退。尚も状況が悪化する中、日本の人間たちは遂に自らの国を放棄するか否か、選択を迫られることとなる。


 そんなとき、突如アンヴァラスに有効とされる兵器が開発された。それこそが対アンヴァラス用戦闘兵器、“アクセルギア”の原型だったとされている。核の炎をも寄せ付けないアンヴァラスにダメージを与えられる新兵器の効果は、正に絶大だった。アンヴァラスと対峙する手段を得た人類は、武器を手に、尚も犠牲を出しながら、遂にはいくつもの街を奪還せしめたのだった。


 しかし、取り戻したどの街も壊滅的な被害を受けており、とても人が住める状態ではなかった。街を修繕しようにも、当時の人類にそれらを復興させるだけの余力などある筈もなく、絶えず押し寄せるアンヴァラスの侵攻を食い止めながらでは埒が明かず、最終的に、折角取り返した街の大半は、再度放棄されることが決定した。


 それ以降、日本では街の在り方が大きく変わることとなった。現在の日本の中枢は、当時で言うところの京都を中心とした街で担うこととなり、その他の街は、中枢都市を守護するような形態となっている。この火具土は、当時アンヴァラスと戦闘を繰り広げていた兵団が南下した折に展開した防衛拠点が発展して街となったもので、今では東の防衛拠点の要という役割を担うという一面がある。


 ちなみに諸説あるが、アクセルギアの原型が初めて開発されたのはこの火具土だったのだとか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る