ISHMAEL
アブラムの妻サライは子を産まなかった。またサライには1人の
サライはアブラムに言った。
「アブラム、私は子を産まないからこの仕え女を妻にして。この人のおかげでわたしはやっと子供を持つことが出来るから」
「え……あぁ、分かった」
妻サライはハガルを夫アブラムの妻として与えた。よってハガルは子を孕んだが、同時にサライを見下すようになった。
「は、私は子を産んだけど、貴方は産めないのね。可哀想な人」
そこでサライはアブラムに言う。
「アブラム! なんで私がこんなこと言われなくちゃいけないの!? せっかく妻として与えてやったのに。こんな仕打ちを受けたのは貴方のせいよ!」
「サライ、落ち着け。あの使え女は元はお前の物だろう? なら私に当たるのではなく、ハガルのことはお前の好きにしたら良いじゃないか」
「え、えぇ……そう言えばそうだったわね……ハガル! この生意気がああぁ!」
「ひいっ!? く、来るな!!」
サライはアブラムの言う通りハガルを苦しめ、それに耐えきれなくなったハガルは身籠ったままサライの顔を避けて逃げるようになった。
そしてハガルは荒野の泉のほとりで
神の使はハガルに言った。
「サライの仕え女ハガルよ、貴方はどこから来たのですか? そして何処へ行かれるのですか?」
「わ、私はサライから逃げているのです!」
「ならばサライの元へ帰り、その手に身を任せるのです。
私は大いに貴方の子孫を数えきれないほどに増やしましょう。
そして貴方は身籠もっています。男の子が産まれるでしょう。その子にイシマエルと名づけなさい。神が貴方の苦しみを聞かれたからです。
彼は野良馬のような人となり、彼の手は全ての人に拳を振るい、全ての人は彼に手を上げ、彼は全ての兄弟と敵対して暮らすことになるでしょう」
「そ、そんな……わかりました」
そうしてハガルはアブラムに男の子が産み、名をイシマエルと名づけた。
ハガルがイシマエルを産んだ時、アブラムは86歳だった。
──────────────────
次回、『ABRAHAM』
イシマエルとイシュマエルは同一人物だぞ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます