ABRAM CONTRACT

 こんなことがあった後、アブラムは神の幻覚と幻聴を見た。


「あーアブラム怖がらなくて良いから。私はお前の盾だから安心して。いやほんとお前すげえわ。だからねプレゼント持ってきたよ」


「んー神様……プレゼントは良いんですけど、私は子供もいないし、私の家を継ぐのはダマスコのエリエゼルしかいないんすよね。

 なんかプレゼントと言われてもねぇ……?

 しかもだよ。全く私に子をたまわないじゃないですか」


「うるせぇな。なんども叶えてやるつってんだろ。いい加減信じろや。これからお前の子孫は星の数のように増えるから覚悟しとけ。

 てか私はお前らをカルデヤのウルから導いた主なんだぜ? これ、忘れてねぇよな?」


「えぇ……もう分かりましたよ。それはそれで、どうしたらそのプレゼントを受け取ったか分かるんですかねぇ」


 往生際が悪いなコイツ。仕方がねぇな。究極のアレ、やっちゃいますか。


「そうだな。じゃあ、雌牛と雌山羊と雄羊。それと山鳩と家鳩を連れてこい。見せてやる」


「え……あぁ、はい。どうぞ?」


「そぉい! こいつも、こいつも斬り裂くッ! はい儀式完成〜」


「うっわ夢に出てきそう……」


「アブラムはもう良いよ。明日になったらきっと信じれるようになるから」


──ここからはアブラムが見た夢のお話──


「う……うーん……」


「やぁアブラム。夢の中にまで失礼してごめんねぇ。ここからめっちゃ大事な話だから良く聞くように。

 お前の子孫は何れ、他国の旅人となって、その人々に仕えると人々は400年間、彼らを悩ますだろう。

 しかーし私は人々を必ず裁き、旅人らは多くの財産を携えて出ていくだろうね。

 んでその時点でお前は高齢で死ぬ。それもすげえ安らかにな。

 そして旅人らは四代目になって元の場所へ戻ってくる」


 そういうと神は、動物を真っ二つに裂き、二つに分けたその肉と骨の道を通った。

 これは決して破られることのない『契約』となり、神はアブラムと契約を結んだ。


「私は、この地をお前の子孫に与えよう。エジプトの川から、かの大川ユフラテまでな。

 つまり、ケニ人、ケニジ人、カドモニ人、ヘテ人、ペリジ人、レパイム人、 アモリ人、カナン人、ギルガシ人、エブス人の地を与える」


「夢にまで出てきたら流石に信じるわ……(-ω-)スヤァ……」

──────────────────

次回、『ISHMAEL』

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