第58話
「行くか」
「はい、色々誤解してすみませんでした」
リンとヴィルの戦いから3日後、俺達はセイレン邸に向かうことにした。
「謝る必要はない、願わくばもう一度手合わせをしたかったが傲慢というものだな。より強くなり再び挑ませてもらう」
「いつやっても結果は同じよ」
「どうかな?さて、出発前に我の知る情報を伝えておく。まずセイレンについてだが、内部を知るスパイから昨日から行方不明だそうだ。勘付かれたかもしれない」
「それは……私のせいね」
「仕方ないよ、万全の状態が一番だから」
「レイズは優しいわね、そう言う所好きよ」
「……話を続けるぞ、ナドフはその地下にいるようだ。そして重要なのは仮面の男だ」
「仮面の男?」
「ナドフを護る右腕とも言われているが、正体は不明だ。ただ1つわかっているのはその強さだな。我は一度戦ったことがある、その強さは常軌を逸している」
「ヴィルも十分凄いと思うけど、それ以上ってこと?」
「ああ、負けた我が言うのは失敬にあたると思うがリンですら勝てるかは怪しい。だからこそ我は零式というものに興味を持った、我の道とは違う為に使いたいとは思わなかったがな」
覚醒したリン以上かもしれないか。
となれば今の俺の全力でも勝てるかどうか。
(だが貴公ならと考えている、我に放ったあの一撃、その右腕と同等かそれ以上だ)
(そうだといいですけど)
「……何コソコソ話してるのよ」
「リン、嫉妬」
「悪い?」
いつもなら違うと否定する所だろうが、やはり変化が出てきたか。
「…………羨ましい」
忘れていたがそう言えばヴィルって18歳だったな、つい本音が漏れている。
「後は我に出来ることは後セイレン邸への案内だけ、気をつけて行け……死ぬなよ」
「ありがとうヴィル」
「それと行く前にここに寄るといい、丁度途中にある」
渡された地図にはバツ印がついていた。
「そこに貴公に必要になる者がいる、特に身体の成長は未熟と見えるがそれを解決することができるはずだ」
見抜かれていた。
だがいつかは越えなければいけない問題だ。
「そこにいる我が師は肉体と精神、魔術の関係を深く知っている、我が超回復も魔術のそれだ。だが今は迫害されていて誰とも関わらず暮らしている」
「ヴィルの超回復は凄い魔術だと思うんだけど……」
「バスダニアでは昔から魔術は卑怯者の証として忌み嫌われているからな、今はまだましになっているが……どんな人かは会えばわかる、だが我が師の試練は過酷だから覚悟しておくことだ」
過酷な試練か。
ナドフに会う前に死ぬのだけは勘弁だが……
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