第57話
「レイズ、こぼしてるわよ?全く子供なんだから」
「レイ、私の食べる?」
「何言ってるの?それに何でレイズをレイって呼ぶのよ、レイズに失礼でしょ!」
「ほとんど一緒、こっちの方が呼びやすい」
「はぁ!?ねぇレイズ、名前間違われるのは嫌よね?ほらレイズもそう言ってるわ!」
「言ってない、リンの妄想」
「何?今ここでやる?私に勝てると思ってるの?」
「やってみないとわからない」
「貴様ら……食事の時は静かに食え!!」
セイレン・テュラハム。
ナドフへの手がかりを得た俺達は次の行動を開始する為に休息をとっていた。
特にリンのダメージは思ったより大きく、かなり痩せ我慢していたが丸2日寝込んでいた。
だが、2日で復活して良かったとも言える。
「私が寝込んでる間、看病してくれてありがとう、嬉しかったわ」
そして大きな変化がもう1つ。
リンの距離が異常に近くなったことだ。
──レイズの髪って綺麗ね、触らせて?
──ねぇ、香水の匂いはどっちの方がレイズは好き?
──レイズの好きな色って何かしら?もしかして……金色?
「ははは……そうかな……」
「もう!ちゃんと答えてよ!」
……と、まるで
「はぁ……疲れた……」
ゆっくりできるのはこの露天風呂だけだ。
ヴィルの優秀なメイドのお陰で数日で邸宅の5割程は復旧していた。
その中にあるこの露天風呂は非常に立派であり、鍵付き貸切に出来るのもポイントが高い。
「ふぅー、疲れが溶け出てくる」
「へぇ、広くて綺麗ね」
「ぶっ!リン何で!?」
タオル1枚を前にかけて辛うじて大切な場所を隠すだけの姿。
「ここ、貸切で……」
「私とレイズの貸切でいいじゃない、嫌
なの?」
「いや、僕は嫌じゃないけど……リンは嫌じゃないの?」
「私から入ってきたのよ?いやな訳ないじゃない」
外は寒く湯気が多い為に姿はぼんやりとしか見えない。
「ありがとう、勇気つけてくれて」
ふと、一言。
いつもの勝気なリンとは違う雰囲気に少したじろいでしまう。
「いや、僕は何も……」
背後に柔らかい感覚。
リンが裸で抱きついていた。
「り、リンさん?」
「ご褒美よご褒美、あー、レイズは小さくて可愛いわね」
ぬいぐるみみたいな感じか……?
「あ、あともう1ついいかしら?」
「え、何?」
「私と結婚してくれない?」
……は?
「リンさん?何言ってるの?」
「これ何かわかる?」
確かそれは
「今更だけれど、私はレイが好きだったのよね。死んだ後に気付くなんて本当今更だけれど」
「……」
「でもそれを気付かせてくれたのはレイズ、あなたよ」
「僕は思ったことを言っただけだし、あの試合を頑張ったのはリンだし……」
「ああもう面倒ね!!好きになったのだから仕方ないじゃない!レイに似てるかわいい所もいざと言うとき頼りになる所も全部!!」
目の前には一糸纏わぬリン。
……本当に綺麗になった。
俺はリンに手を取られ、目の前の双丘に手を……
ふにん。
……あれ、思ったよりも硬い。
「ギリギリセーフ」
「ノル!?」
にょきんと俺とリンの間に生える様にいた。
「簡単にレイは渡さない」
「渡さないってどう言う意味?別にノルのものじゃないでしょ?」
「レイとの子供を作るのは私、でも精通きてないから私が頑張る。リンは精通の意味わかる?」
「わかるわよそれくらい!」
ノルが抱きついてきた。
「男は生えてない方が好き、私は生えてない、ほら」
見せてくるな。
「むぅ……恥ずかしがってる。ちなみにリンは生えてる、これが証拠」
目の前に金色の縮毛。
え、これって……
「な、ななな、何して」
これ以上ないくらい真っ赤になったリン。
「殺す!絶対に今!絶対に殺す!!」
「裸見せたのにこれはダメな理由がわからない」
「それがわからないならここで死ね!!」
リンさん、頼むから……露天風呂は壊さないでね。
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