第35話

 王国専属魔術師団、鷹獅子団


 元々は全てのユースティアの魔術師は鷹獅子団の許可と登録が必要であり、鷹獅子団にあらずもの魔術師にあらずと呼ばれていた。


 金獅子零魔団と銀鷹零魔団はその中で零式の才能に目覚めたリンとノルがと長年続いてきた慣習、制度に霹靂した魔術師を引き抜き創設した魔術師団だ。


 と、ノルが説明してくれた。


「鷹獅子は実力なんて見ていない、どれだけの長さ魔術師団に所属していたかで待遇が変わる」


 つまり年功序列。

 よく古く悪しき制度として言われる事が多いが育成という面では非常に有用な制度だ。


 だが、それが個人の才能に大きく依存する魔術師には合わないというだけ。


「立派すぎる家だね」


「私達のアジトの10倍はある」


 権力と自己主張は変わらず激しいようだ。


「リンと連絡取れた、あっちも鷹獅子の支部にルドフがいる」


「ならこっちも始めないとね。僕が建物の反対側に行くから両端から調べて行こう」


「わかった、合図する」


 ゆっくりと建物の反対側に移動する。


 そういえば合図ってどうするんだ?

 すると地面に零式で描いた数字が現れカウントダウンし始める。

 器用な所は変わらない。

 

──零式壁


 カウントがゼロになった瞬間、零式壁を展開する。


 巨大な半球状の零式壁が展開され建物を覆う。

 長時間、広範囲発現は本来の使い方では無いため、かなりの魔力を込めたが持って5分という所だ。


「何だお前……いや、銀鷹のノルか!?うぎゃあ!?」


「ナドフはどこ」


「場所なんて教え……あぎゃ!?」


「なら寝てて」


 表で派手にノルが暴れている。

 そこらの魔術師には指一本触れることすら出来ないだろう。

 なら、俺はこっそりと調べさせてもらうとしよう。


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