第26話
「おかしい、レイの家は焼き払ったはず。道具も」
あれはリン達の仕業だったか。
俺も実際に行ったがら確かに道具は隠していた零式魔人1つだけだった。
……にしても、そこまでやるか。
やはり正体は隠した方が良いな。
そして水晶だが、これは多重詠唱を行うことで破壊できるのだが同時に魔術を溜め込む性質がある。
イメージとしてはハードディスクやUSBメモリーのような感じだ。
無理やりそれ以上の情報を流し込めば破壊される訳だ。
「きっと水晶に何かの零式が保存されていたのね」
「あー、わいも知ってるべ、レイって人は悪い人やつなんだべ?そいつが犯人か!」
それはありえない。
何せ今ここに俺がいるのだから。
「レイは死んでる」
「もしかして死んだふりをしているかもしれないよ」
「レイはいないわ、だから違うわよ」
「んでも、レイは詐欺師って呼ばれて……」
「うるさい!!レイがこんなことするはずないのよ!」
……驚いた。
まさか擁護してくれるとは。
「絶対レイじゃない、それは私もそう思う」
ノルも同じだ。
ますますわからなくなってきたな。
「すまんだべ……」
「い、いえ私の方こそごめんなさい。とにか別な犯人が悪用してるの、だからそいつを見つけ出すわ、レイズも協力しなさい」
「もちろん、レイの汚名を返上しないとだね」
「ええ……って別にそう言う訳じゃないから!」
どっちなんだよ……
とにかく聞き込みからはじめるか。
まずは街の人に怪しい黒い人物の目的情報を探ってみた。
「黒い格好の怪しい奴?そげな奴いっぺぇいるべ」
「変わった奴なんてここじゃあちょくちょくいるしなぁ」
「知らんなあ」
などなど。
年齢問わず色々聞いてみたものの、有用な情報はほとんど得られなかった。
バスダニアと近いせいか両国の文化と人々が入り混じっているのもその理由だ。
ちなみにユースティアは白色を神聖とし、バスダニアは黒色を神聖としている。
全身黒のそいつはバスダニアから来た可能性は高いと思うのだが。
「黒い奴ならどこに行ったか知ってるべ」
ノルに支えられながら現れたのは腰の曲がったお爺さん。
「本当!?どこですか!」
「教えてやってもいいがなぁ、タダって訳にはいかんべ。そだのぇ、このおなごのパンティってのと交換じゃ」
「今穿いてるのでいい?」
「いい!いい!!」
このジジイ……殺してやろうか?
「おいじっちゃん何馬鹿なこと言ってんだ、この方達はわいらのこと助けに来てくれたんだ!」
「でもパンティ……」
「そんじゃあわいのでいいか?」
「いい!いい!!」
「よし、パンチィだべ!!」
ハシャマが腕をぶんぶん振り回し始めた。
この爺さんの扱いに慣れているみたいだな。
「じ、冗談じゃて!ごめんて!そ、そうじゃ!そいつはなんか変な綺麗なもん持って森に行ってたべ」
「それは丸い水晶のことですか?」
「そう!それだべ!」
もしそれが本当なら回収しないといけない。
「森には村の人みんな行くしこれじゃ娘も遊びに行けんしなぁ……」
「何かわかったの?」
森に2個目の水晶があることをリンに伝えると今にもブチギレそうな表情で森に向かう。
「回収!行くわよ!」
「ちょ!待って!プリズロックがいっぱいいるんでしょ?まずは作戦を……」
「これ以上被害を増やす訳には行かない、場所がわかったなら私とノルでなんとかするわよ」
「でも……」
「ハシャマ!ここにいたべか!娘が!」
村の男性が慌ててきたが何言っているかわからない。
相当急いでいることしかわからない。
「まずいべ!イシャが遊びに森に行った!あん子、おとなしくしてろて言ったっぺのに!」
どうやら悠長にしている時間はなさそうだ。
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