第24話
「ただいまかえりました!」
「お疲れ様だね、疲れただろう?特製のお茶でもどうかな?」
「おっつかれー、そんなものよりマッサージしてあげるよー!」
帰ってきて早々ライとシーアの歓迎を受ける。
リンがお茶を取り上げて匂いを嗅ぐと中身をライにぶちまける。
「媚薬入ってんじゃない!はい、レイズが穢れるから5m以内に近づくの禁止ね」
「シーアもおかしい、ガキは嫌いだってうるさいくらい言ってた」
「えー、だってレイズきゅん実はおじ」
シーアに満面の笑みを返す。
「おじ?何それ?」
「お、お……そう!おじいちゃん!おじいちゃんを助けてたから優しいなぁって!そんな子は絶対いいこだから嫌いじゃないんだよねー、うん」
「へぇ、そんなことしてたのね。優しいじゃない」
かなり怪しかったがなんとか誤魔化せたか。
「それよりシーア、異常調査の結果を教えて」
「はいはいー、結構酷いことになってたよー。お願いされてた北西部シドラ地方で起きてた魔物、プリズロックの異常行動だけど。なんか人にも同じ異常行動が移ってるみたいなんだよね」
プリズロックは確か巨大な氷の魔物だ。
縄張りである氷雪地帯で炎を使わなければ襲ってはこない穏便な魔物だったはずだが。
「人も襲ったりってことだよね?」
「急に殺してやる!とか言って錯乱したり、逆に無気力で餓死したり、症状は色々だってさ」
話を聞くともしかしたら種族問わず感染する疫病の可能性も高いな。
「何かの毒か病気の可能性が高そうね……無闇に行くのは危険だけど、だからって放置する訳には行かないし」
「僕が行こうか?」
「あのね、子供を行かせれる訳ないでしょ」
「でもその毒?病気?から守る方法なら知ってるし……」
──
空気のみを透過してそれ以外は通過させないフィルターの様に零式を体表に形成する。
以前に毒の瘴気の中に行く際に数ヶ月試したて成功したが今も難なくできてよかった。
むしろ今の方がより精密に出来ている気がする。
長時間の使用は零式の特性上不向きで持って半日だが、これであれば疫病だとしても大丈夫のはず。
「こんなことどうやって……」
「あ、ええと……ライお姉ちゃんに」
「あんたこんなこと出来たの!?」
「そ、その通りだ!偶然そんな話をしていてやってみたらと言ったらまさか本当にできるとは!流石かわいいだけじゃなく天才だとはね!」
「何よそれ、本当の天才じゃない……レイズ!私にも教えなさいよ!」
教えて出来るからわからなかったが、数分で完成させてみせた。
本当の天才はリンの方だな。
成功したのはリンとノルのみ、3人で行くことが決まった。
異常行動と魔物か……嫌な予感がする。
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