第23.5話
「レイズは私の気持ちも知らないで……」
馬車に乗り帰宅の途につくフィクナの怒りの怒りは収まらない。
裕福ではないアレグリス家であれば、本来なら乗り合い馬車なのだが怒りのオーラが湧き出るフィクナと同乗するものはいなかった。
「まずは母様父様を説明しなければいけませんね、零式がどれだけ危険かわかっていないんですよ!
両親は零式魔術のエキスパートだったのだが、それを知る由もないフィクナはどう説得すればいいか頭の中で考えを巡らせていた。
「……あら?」
その為、馬車が森の中で止まったことに気が付かなかった。
「いない……どうして?」
御者もおらず、馬はただその場でじっとしているだけ。
異常事態にフィクナは弓を構える。
「誰ですか!出てきなさい!」
周囲を警戒、誰であろうと現れた者を容赦なく射抜く準備は万全だった。
背後から、フィクナの頭に手が伸びる。
「え……」
既に馬車の中にいた何かに触れられた途端、フィクナの感情が爆発した。
恐れ、怒り、快楽、悲しみ。
「あ……が……」
感情の変化に身体が耐えられなかったのか身体が痙攣、失禁し地面に倒れ込む。
『お前は、何がしたい』
全身黒の外套を羽織った何かにそう尋ねられたフィクナは答えた。
「…………レイズを誑かすあの女を、殺す」
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