第15話
「レイズ!!どこにいたんですか!?」
元の姿に戻り再び参加者の集まる酒場に戻ると涙目でフィクナが駆け寄ってきた。
「ごめんなさい、すぐにリタイアしてホテルで休んでたんだ」
「そうだったんですね私はてっきり参加していたのかと……きちんとリタイアしていたんですね、すいません」
「そんなことないよ、それより話があるんだけど……」
「話ですか?明日には帰らなければいけませんが、まだ寄りたいところが?」
零式に恨みを持っているフィクナに入団すると言ったらどうなるか……
「その……明日から零魔団に入団することになったんだけど……」
「零魔団に?ふふっ、レイズも面白い冗談を言えるようになったんですね。ですがもう少し騙せるような嘘をつかないと」
「…………」
「……え?」
「ごめんなさい……」
「まさか、本当に?」
無言の俺を見てそれが冗談では無いとようやく理解したようだ。
「ダメです!!というか何故!?確かに団員さんと少し話はしましたが……とにかく零式、あの人達に関わるのは絶対に駄目です!」
「でも、もう約束しちゃったんだよね」
「お姉ちゃんに任せなさい!きっぱり断ってあげますから!!」
そうして翌日。
強引にフィクナが付いてきて零魔団の本拠地に到着した。
「あの時の子供!?あんたが弟子なの!?」
「あ、はい……よろしくお願いします」
「君は私と一緒になる運命、こっちにきて」
「待ちなさい、この子ノルに任せるのは不安だわ。私が金獅子で責任持って面倒みるわ」
「私が面倒みる、そう言う約束」
「約束なんてしてないけど?」
俺はどちらでもいいんだが……
「あの!ちょっといいですか!?」
フィオナが声を上げる。
「……」
「な、何ですかその目……」
「あんた誰だっけ」
「うぐっ……レイズの姉、フィクナ・アレグリスです!レイズが零魔団に入団すると言う約束をしたようですがあれは断らせていただきます」
「それは無理ね、こっちもその子に聞きたいことがたくさんあるの。それにあんたが断るのはおかしな話じゃない?親でもないでしょ?」
「今は私が保護者です!それに母様も父様もきっと同じことを……」
「言わないわよ、アレグリスよね?なら絶対言わないわ」
「……え?」
どういうことだ?
「親はアルブ•アレグリスとリトファ・アレグリスでしょ?」
「な、何でそんなことを……」
「農場も貴方達のお母さんも元零魔団よ?当然、あなたの生みの親もね」
唖然とするフィクナ。
だが確かにそれなら色々と辻褄が合う。
零式に殺された母親が何らかの関わりを持っていてもおかしくない。
「ってことで決まり、レイズは今から金獅子零魔団よ」
「間違い、銀鷹零魔団」
「はいはい、それとフィクナあんたはどうするの?お母さんの仇を討ちたくないの?私なら零魔団に入るけど」
「……入りません、私は関わりは持ちませんから……レイズ」
「な、何?」
「必ず迎えに来ます、それまで身体に気をつけるんですよ」
そう言うと去ってゆくフィクナ。
「リンはデリカシー無い」
「そう?仇打つつもりだと思ってたから提案しただけよ」
帰り際の表情からはいつものフィクナらしい明るさはなかった。
……大丈夫だろうか。
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