第11話

「眠い……です……」


「う、うん……」


 昨日は異世界のラブ……じゃなく宿に泊まったが、部屋を見た瞬間理解したようで『こ、このベッドは回転させて遊ぶんです!』とか『このおもちゃは……そう!肩や腰のマッサージに使うんです!他の用途はありませんよ!!』とかで誤魔化すので精神がすり減りまくった。


「ですが折角来ましたから観光しないと勿体無いです!それに今年の建国祭りは特別で、大会が開かれるみたいなんです、何でも参加費無料、優勝すれば豪邸がもらえるんですよ!それに参加賞はユースティア王都名産、シャイマを使ったミックスジュースです!」


 興奮気味の所悪いが、優勝には興味はない。

 だが太っ腹だな。

 この50年で栽培技術も確立しているのかもしれない。


「私は当然参加しますし、レイズも参加者エントリーだけしませんか?そうすればジュースのめますよ?でも危ないので決して参加はしないでくださいね!」


「それって他の魔術師と話せるってことかな?」


「え?そうですね、今日は前夜祭で広場に集まってパーティがあるみたいですよ」


「なら、参加するよ」


 俺が史上最低の魔術師、魔術を盗んだというのも気になる。


 真意は何なのか、それにリンにも会っていない。


まずは情報収集だろう。


「それでは参加エントリーです!」


 うん!……と、意気揚々に言ってきたのだが。



「……これ、今日中にエントリーできるかな?」


「わかりません、まさかこんなにいるなんて」


 思い出すのはコミケの壁サークルの行列。

 とんでもない参加者の数、数千人はいるかもしれない。


「早く来るべきでした、うぅ……」


「大丈夫だよ、参加できなくてもシャイマジュースなら意外と安かったし」


 数万するかと思ったが、いまは500程度で飲めるのは驚いた。


「おい!銀鷲と金獅子がまた一悶着起こしてるらしいぞ!」


「何だ何だ!また姉妹喧嘩か!」


 銀鷲?金獅子?姉妹?もしかして……


「ごめんちょっとトイレ行ってくる!」


「え!?わかりましたが遠くには行かないでくださいね!!」


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