第3話

「…………」


「…………」


「焼いて食べる訳じゃない、そんな警戒するな」


 家に戻るとリンとノルは俺から距離を取り続けていた。


「信用出来ない!もしノルに手を出すなら、わ、私が相手になるから!」


「リン、そんなこと言っちゃダメ、犯される」


「そんなことはしない」


 奴隷は従順かと思っていたが反抗的な奴隷もいるようだ。


「奴隷としての自覚がないか……」


「「ひっ……」」


 その一言で2人は怯えてしまう。


 正直に話した方が色々と楽そうだ。


「いいか、俺の命令はただ1つだ、2人には俺が創り出した【零式ゼロレンジ】を継承してもらう、それだけだ」


「そう言って、辛いことさせるつもりでしょ!」


「ある意味ではそうだが、継承が完了すれば2人は奴隷ではなくなる」


「……どう言う意味?」


「言葉通りの意味だ。それさえあれば自由に生きられるってことだ、零式ゼロレンジは最強だからな」


「それ、全部嘘って聞いたことある」


 奴隷すらそんな噂が広まってるのか。


「だから2人を買った、俺を信じれば最強になれる」


 と、説明してもこれでは怪しい宗教だな。

 魔術の継承は無理矢理では絶対上達しない。

 2人が本当に覚えたいと思わなければならない。


「……本当にそのぜろれんじ?を継承すれば、私達を自由になれる?」


「ああ、絶対だ」


「……ノル」


「私は信じる」


「即答!?でも……確かにそれしか道はないし……自由になれるなら……」


 リンは完全に信用している訳じゃないが今はそれで十分。


「決まりだ、ならまずは自己紹介かな?俺は……」


「レイ・ゼロス、若干16歳にしてユースティア王国魔術師団団長、不思議な魔術で人を惑わした詐欺師」


「よく知ってるな、詐欺師以外は当たりだ」


「ノル・ノート、9歳」


「私はリン・ノート、10歳よ」


 6歳くらいかと思ったが上だった。

 ハーフエルフの血筋が年齢よりも若く見せるのだろう。


「改めてよろしく、リン、ノル」


「よろしく、ご主人様」


「すぐに覚えてこんな家すぐに出てってやるわ」


「その調子で頑張ってくれると嬉しい」


「な、なんっ……うるさいわね!!ロリコン変態!!」


 よそから見れば否定できないのは悲しいところだな。

 

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