第2話
「勘違いしていて本当に申し訳ありませんでした!!」
現在私は謝り倒されている。
話を聞くと帝国の回し者だと思われたらしい。
「本当にすいません…何せ帝国が好んで使っている炎魔法をお使いなさっていたので…」
「そんな謝らなくても大丈夫だよ。それより…」
予想通り兵士がこちらへ走ってきている。
早く逃げなくては…
「えっと…君!早くここから立ちs…」
『おい待て!!姫さまを早く捕まえろ!!!誘拐犯は殺してもかまわん!!!』
んん?なんか今ひめさまって聞こえたような。
慌てて私は赤髪の子をみる。
「て、てへ?」
小首を傾げてごめんねとでも言いたいかのように手を合わせてくる。
可愛い…ではなく!
私は今とんでもない事に巻き込まれている気がする。
王女を誘拐したら下手をしなくても首が飛ぶ。
冷や汗が止まらない。
もういっそのことこの王女を2、3発殴りたい。
ただの王女のお遊びの脱走のせいでこうなっているのだ。
「君!というかレイン王女様!!!もう責任とって下さい!!私は逃げますよ!!」
口調などこの際気にせずタメ口で怒鳴りつける。
「待って!お願い!!私も連れて行って!!」
この王女様は何を仰っているんだろう。
そんなことしたら私の命が危ない。
そんな願い聞く訳はずがn…
「お願い!!この国を変えたいの!!!」
それはきっと本心からのものだったのだろう。
この子ならもしかして…
そう思ってしまったほどに。
獣人の勘。
いや自分の勘をこの際信じよう。
「分かりました。では逃げますよ」
私はレイン王女を抱き上げると走り去った。
白狼のハーフだけあって私の足は早い方だ。
王女様を抱き上げているのに普段より早くはしれている気がする。
(ここまできたら後には引けないね…!)
いつの間にか日が沈み星が瞬いていた中を私達2人で走り去った。
ーーーーーーーーーー
【レインサイド】
私は早くこの国から逃げ出したかった。
決して国民全員が幸せとは言えない国。
母様は父様が亡くなってからは変わってしまったのだ。
それに伴い国家の衰弱。
「私がこの国を変えられたらなぁ」
そう思ってもきっと『落ちこぼれ』の私では無理だ。
この国の王族は皆高い魔力を持っている。
しかし私は平均より少し高いくらい。
落ちこぼれなのだ。
だから私の力では変えることができない。
外の世界へ行きたい。
段々と私はそう思うようになってきた。
経験を積まない事には何もできない。
この国を変えるためにも。
だから私が…
そんな思いからある時私はついに行動に移した。
満月の夜。私は城から脱走した。
荷物もろくに持たずに。
そんな無鉄砲な計画だったからかすぐ見つかってしまった。
たかが14歳の子供が脱走し世の中を変えることなど不可能だったのだ。
そう思った時。
「生憎私は弱者を助けろ。と父さんに散々言われたからね…!大人が寄ってたかって子供をいじめてるのを見逃すほど腐ってはないよ。」
カッコいい。
この人ならもしかして…そんな淡い希望が生まれたのだった。
その後色々あって私は旅に同行させてもらう事になった。
抱き上げられた時には心臓がうるさくバレないかヒヤヒヤしてしまったけど…
落ちこぼれ王女とケモ耳魔術師 @tokino_kanata
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